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【クソ真面目エッセイ-17】ノストラダムスは大嘘つきだ。

 

フリーペーパーの専門店「只本屋」をなんで始めようと思いましたか? という質問をよくいただくことがある。諸説色々あってと冗談めかしているが、立ち上げたメンバー6人の想いは多分別々で、本当に諸説色々あるのだ。色々な縁やタイミングが重なって今に至る。その一端をお伝えしたい。

 

1981年東京生まれの僕は、ノストラダムスの大予言によって、21世紀を迎えることなくこの世からさよならするんだろうなということをまことしやかに思っていた。関西で地震があり、地下鉄で有害ガスがまかれ、いよいよ世の中もダメになると思った矢先に、あっさりと21世紀がやってくる。そして思ったのだ、ノストラダムスは大嘘つきだ。と。

 

外国では大きなテロ事件が起きているとTVで言ってはいるが、芸術の道へと突き進んだ僕は、いたって平凡な大学生活を送り、なんだかちょっと腑抜けになって生き残ってしまった。それだったらビシッとネクタイをしめてやろーと思えども、就職難とかなんとかで社会の方から仲間外れにされたり、先行きの見えない不況と不安を背負いながらせっせと歩いてきた。そういう世代なのだ。

 

せっせと歩いているうちは安心で、時間はどんどん経っていくし、経験が積み上げられていって、そういうものを見つめるだけでなんかほっとする。そうやってせっせと歩いていたら、ある日地震がやってきた。それから放射能の雨が降った。風が吹いた。どうしたらいいのかわからなくなった。どっちにいけばいいのか、なにを積み上げたらいいのか、誰にきいたら、信じたらいいのか、そういうあれこれが全部わからなくなった。それはとても不思議な体験だった。そして僕は30歳になっていた。

 

今僕らが生きているこの時代は平和なのだろうか。誰もが喜びを分かち合えるようなそんな世の中のだろうか。答えは今もわからない。災害大国日本で、災害がくれば今の常識とか生活とか日常が脅かされるそんな中で、それでも大切なものって一体なんだろうか。そんなことを考えたりした。それでも日常は、生活は進んでいくのだ。

 

それから2年して、東京という町を離れて京都にやってきた。あわあわしている間に2年が経ってしまった。何かを見つけたわけでもなく、どっちに行けばいいかもわからず、とりあえず歩み始めたという方が正しい。

 

京都にきてしばらくして出会ったのが、当時大学生の「只本屋」の立ち上げメンバーであった。彼らは僕にこう言った。「文化を作りたいんです!」なんと大それたことを言いなさる。しかしその後光をまとったかのような眩しい若さがまた新鮮でシャキシャキで、とても歯ごたえが良かったのだ。そしてまばゆいそのメンバーの仲間に入りたくて、自分の経験と知識を提供することにしたのだった。それからはもちろん苦労もたくさんあった(笑)。でもそれ以上に得るものはたくさんあった。何よりも一回りも離れた友人ができたことがとても嬉しかった。

 

そうこうしているうちにどんどん仲間は増えていって、京都だけでなく、愛知にもできたり、島根にもできたり。輪がどんどん広がっていく。いろんなところにきて欲しいという、自分の作っているものをおいて欲しいという、来るお客さんも「こんにちは」だけでなく、「ハロー」とか「ニーハオ」とか、そういう声をたくさん聞くようになった。誰と話したらいいのだろうかとか、そんなことを考える暇もなく気がつけば季節が4周していた。そして今もそれは続いている。

 

「只本屋」って一体なんなんだろうか? お金が儲かるわけでもないし、月に一度しか開いてないし、これは一体なんなのだろうか? そんなことを考えたりしている。ふと、横を見るとたくさんの仲間の顔がある。「なんなんでしょうね」と声をかけてくれる。何かを見つけたわけでもなく、どっちに行けばいいかもわからず、とりあえずみんなで歩いている。今はそんな感じだ。

 

予言ははずれてしまったのだ。本当にノストラダムスは大嘘つきだ。だからとりあえず歩いている。せっせと歩いてみようと思っている。あの頃と違うのは今は一人でないということだろうか。

(フリーペーパー『Swinging Vol.26』より転載)

 

文・山田毅(やまだ・つよし) 

1981年東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業。東日本大震災を機に京都に移住、「只本屋」のプロジェクトを開始、メンバーの中では最年長のため、代表を務める。同時に京都市立芸術大学の博士課程に在籍し、研究制作を行う。アーティストの制作現場から生まれる副産物を取り扱う「副産物産店」や市営住宅の中に美術室を作る「第32棟美術室」など様々なプロジェクトを行い、現在に至る。

 

 

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