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【クソ真面目エッセイ-18】僕とONLY FREE PAPER

 

この原稿を書いている段階では、Swingingの最新号(つまり今あなたが手に取って読んでいる、まさにこれである)は未読であるが、フリーペーパーというものを考察するにあたり非常に興味深い内容になっている事は間違いない。なので、ここではフリーペーパーについて何かを書く事は止めておこうと思っている。僕がそれについて書かなくとも十分だと思うからだ。

 

では、ここで何が書けるのかと言えば、やはりONLY FREE PAPERという少し奇妙な店についてという事になるだろう。

 

あまり大きくもない商店街の中に2軒以上タピオカの店が開業するという事も珍しい光景ではない2019年7月現在の日本も全くもって滑稽だが、一定の理解はできる。人々の関心をさらうトピックの中に商機を見出し、スピード感を持ってそこに便乗するというのは短期的な売上を見れば、妥当な選択である。

 

2010年の暮れ、東京・渋谷に開業した奇妙な書店は様々なメディアを中心に瞬く間にその存在が広まっていき、9年たった今でも(当時ほどではないにしろ)各種メディアに取り上げられる事も多い。しかし、、、、全く現れないのだ。同じ事をやろうとする人間が。その他多くの【店】と同じように一定の定休日以外は常に営業しているという形で限定すれば、フリーペーパー専門書店は未だにONLY FREE PAPERしか存在しない。店の注目度から考えてみると、フォロワーが現れないのは不自然とさえ思える。

 

しかし、もっと細かく冷静に見ていけば簡単な問題ではある。要するに、全く商売としての勝機が見えないのだ。それはそうだろう。何と言ってもこの店には【売るものがない】のだから。店で取り扱う商品は基本的にはフリーペーパーのみ、もちろん無料だ。多くの読者はもうこの時点で意味が分からなくなってしまったかも知れない。そんな多くの方にとって一番興味があるであろうONLY FREE PAPERのビジネスの仕組みはここではとても書き尽くせないので過去の記事などをググっていただくとして、ここで取り上げたいのは「では、何故松江は商売として勝機がない店を9年も続けているのか」という部分だ。自分で書くのは少しむず痒いが、ここにこそONLY FREE PAPERの本質、もっと言えば商売の本質が潜んでいると思う。結論から言うと、未だにそれが何なのか自分でもよく分かっていないのだが。

 

僕は極端なほど感情を表に出すことが苦手だ。ここまで一緒にこの店を支えてくれたスタッフをはじめ、近しい人間も僕の事はロボットか何かと思っているに相違なく、最新技術を駆使したアンドロイドの方がマシだとさえ思う人間がいてもちっともおかしい事ではない。

 

そんな僕ではあるが、分かっている事だってもちろんある。それは自分が見たい未来とか自分がこう在りたいという姿だ。その実現のために一つ一つ形にしていく作業の一つがONLY FREE PAPERという店であり、それは内在する僕と外の世界を繋ぐインターフェースとも言えるかもしれない。つまりそれは僕自身が生き続けるために必要な生命活動そのもの。他者・外界との接続なしで生きる事は何人たりとも不可能なのだ。

 

僕はこの店のオーナーとしてONLY FREE PAPERと向き合っているが、フリーペーパーの発行者の皆さんも本質的には同じ事なのだと推測できる。発行者として自分の分身とも言える創作物をONLY FREE PAPERに設置する事により外(あるいは他)と接続する。(フリーペーパーにも色々な種類や属性があるので全てが全てそうではないという事は前置きしておきたいが)これまで「何故そこまでしてフリーペーパーを作るのですか?」という質問を受けている発行者さんを幾度となく見てきたが、質問者に対しての同情の念は持ちつつも「何だか愚問だなー」と違和感が押しあがる事はほぼ毎回と言っていい(僕自身も聞いた事はあるので何とも言えないのだが)。

 

つまりそれは、何で息してるんですか? 何で食べるんですか? これらに等しいのだ。だから、ある種の人たちが窒息しないように、飢餓にあえがないように、僕はこの場所を存続させている。というのも松江がONLY FREE PAPERを続ける理由の一つだ。 ここに商機があるかどうか、株式会社・営利企業として運営している以上無視する事は出来ないが、ニーズがある限りは必ずどこかに商機はあるというのが僕の考え方であるので問題にしていないし、実際僕は今生きている。そして、これからも頑張って生きていくつもりだ。

(フリーペーパー「Swinging Vol.26」より転載)

 

文・松江健介(まつえ・けんすけ)

1982年東京都生まれ。大学卒業後、音楽活動をしながらファッション業や飲食業など職を転々としたのち2010年12月、前職の同僚などと世界初のフリーペーパー専門書店『ONLY FREE PAPER』を開業。2012年より2代目オーナーとして現在まで店を運営する。現在は、音楽ユニットTAOHの一員としても活動し、フリーペーパーの発行も定期的に行なっている。

 

 

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