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すぐに言葉になんてできないもの

 

心揺さぶられるものに出会ったとき、すぐにジャッジをすることなんてできない。逆に言えばすごかっただのおもしろかっただの良かっただの悪かっただの即時的に言えてしまえるものは、結局のところそれは(自分的に)「消費」の対象であって、長く自分の中にとどまるものではないような気がする。

 

現在、京都造形芸術大学を舞台に開催中の「2018年度京都造形芸術大学 卒業展/大学院修了展」。今年もその広報デザインは坂田佐武郎氏によるものだ。そのビジュアルを最初に見たとき、僕はほとんど何も言うことができなかった。 たぶん猫で言えば、グルル……と短く喉を鳴らした程度の反応であったと思う。良い悪いではない。とにかくそれは僕の中に強烈に残り続け―もちろん今も残っている―、結果としてそのデザインを抗いがたい入口として、数年振りに卒展へと足を運んだ。都合により短時間しか滞在できなかったが、ずっとずっと、もっともっと、半年くらいやり続ければいいのに! と思った。最近、いろいろな物事のサイクルがものすごく短くなっているように感じるのは気のせいだろうか。

 

 

今夜、ロームシアター京都にて明日明後日と上演される『はじめまして こんにちは、今私は誰ですか?』のゲネプロダクションを観賞させていただいた。「この舞台、観に行きたい! でも次の日、3時起きで沖縄出張だからちょっと無理かも……」と駄々をこねていると、縁あって「観に来ませんか?」というお誘いを受けたのだ。僕には(僕にとって)つまらないものを目にすると、たとえ劇場の最前列であろうが、どんな著名人が目の前にいようが、「寝てしまう」という大変不届きなクセがある。一緒に行ったあちゃみちゃんは寝てしまったらしいが僕は一睡もすることができなかった(……何を言っているのだ?)。そして終演後、すぐに感想を口にすることもできなかったし、誰かに聞かれたらやだなとも思っていた。劇中、倉田翠さん(演出・出演)が「楽しいからではなくって踊らなければならないから踊っている」と、アドリブだかセリフだか分からない調子で語っていたのに痛く共感した。僕も己の行動を本気で喚起するものは「〜したい」ではなくって、もっと切実な、ほとんど不可避な「〜ねばならない」だと考えているからだ。

 

 

ちなみに今日の昼間、我々スウィングへっぽこ役者勢は、オール上賀茂ロケである撮影を行っていた。様々なシーンをアドリブ的に撮っていったが、恐らく踊らなければいけない理由は何ひとつないゴルゴは、上賀茂神社の真ん中でひとり楽しそうに踊っていた(いや、お願いして踊ってもらったのだ)。

 

先日、椹木野衣さんのお話を聴く機会があったのだが、「すぐに感想を言わないようにしている。ていうか言えない」というようなことをおっしゃっていて、強烈に勇気づけられた。僭越ながら「ですよね!」と思ったのだ。以前にも似たようなことを書いた気がするが、例えば僕の話を聴いてくれた学生に「人生観が変わりました」なんて即座に言われてしまうと、「そんなのたったの1時間で変えてんじゃねえ!」とか思ってしまう。とか言いながら椹木さんの言葉の数々は鋭く深く突き刺さり、人生観とまでは言わないものの、「何かの観」が変わってしまったような気がする。

 

心揺さぶられるもの、すぐに言葉になんてできないものが、必ずしも自分にとって快いものだとは限らない。快、不快という区別を越え、自分にとっての本物であったならば、それは否応なく自分の中にとどまり続け、新たな自分を形作る……いや、本来の自分へと還るための、血となり骨となるのだろう。

 

木ノ戸

| 考えごと | 01:43 | comments(0) | trackbacks(0)
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