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【特集】「ゴミコロリ」という仕事。

 

NPO法人スウィングが2008年10月から展開する清掃活動「ゴミコロリ」。焼けつく日射しも凍てつく木枯らしも少々の雨も腰痛もおかまいなし! 毎月愚直に地道に続けてきたその回数は2017年2月、遂に「第100回」を迎えた。なぜスウィングは誰にも頼まれていない、一銭にもなりゃしない「ゴミコロリ」を大事にするのか? なぜ人は誰にも頼まれていない、一銭にもなりゃしない「ゴミコロリ」にやって来るのか? 内輪で盛り上がってもアレなんで、かと言ってなんにも知らない人に聞かれるのもアレなんで、このフリーペーパー「Swinging」を共に創り続けてきたデザイナー、坂田佐武郎氏をインタビュアーに迎え、我らのプライド、「ゴミコロリ」の謎に迫る!

 

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木ノ戸昌幸(きのと・まさゆき)

1977年生まれ。NPO法人スウィング理事長。立命館大学文学部日本文学専攻卒。2006年にNPO法人スウィングを設立。人の「働き」を「人や社会に働きかけること」と捉え、「障害福祉」の枠を超えた創造的な取り組みを展開中。

 

更田麻美(ふけた・あさみ)

1980年生まれ。2006年よりNPO法人スウィングに所属。通称・あちゃみ。「口から生まれた」メリットを生かし、1年365日ひたすらしゃべりまくっている。清掃活動「ゴミコロリ」では2015年より「ちゃみブルー」として活動している。

 

Q(きゅー)

1973年生まれ。2006年よりNPO法人スウィングに所属。清掃活動「ゴミコロリ」の他、芸術創作活動「オレたちひょうげん族」、京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」等、多方面に渡ってスウィングの「仕事」を中心的に牽引している。

 

Intervewer

坂田佐武郎(さかた・さぶろう)

1985年生まれ。グラフィックデザイナー。大阪のデザイン会社勤務後、出身地京都で独立。紙ものデザインを主な分野に活動している。2013年から「Swinging」のデザインを担当している。

 

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「ゴミコロリ」とゴミ拾いの違い

 

― 「ゴミコロリ」と「ゴミ拾い」は何が違うんですか?

 

Q  「ゴミコロリ」と「ゴミ拾い」の違いは、「ゴミ拾い」はゴミを拾うだけ、「ゴミコロリ」はゴミをコロリと拾うこと。

木ノ戸(以下、木) あ、いいね。

更田(以下、更) コロリと拾う(笑)。

木 平日の昼間にやるっていうのがまず違いやと思う。

更 ああ〜。笑いも入れつつ、タイトルつけたりとかユニークに。「ゴミブルー」 [1] になってやったりもするし、地域の人との関わりも考えて。

木 なんか予習してきたみたいやな(笑)。地域の人との関わりとか考えてるんや。

更 まあ、やっぱり子どもらに手振ったり。「ちゃみブルー」[2] やから。

 

― あちゃみさんは結構どっぷり浸かってるんですか?

 

木 あちゃみちゃん、「ゴミコロリ」がはじまった時からいるやろ? 「第1回」は2008年の10月ね。

更 はい。

木 Qさんは最初から乗り気やったと思うねんけど、あちゃみちゃんは割と最初の頃は積極的じゃなかったんよね。お金にうるさい人やってん(笑)。

更 はい、はい。そうですね。でもやったら楽しさが分かりました。吸い殻探しが楽しくなってきて。お金に換えられないものが「ゴミコロリ」にあるんですよね。

木 「(ゴミが)無い無い!」うるさくって。

一同 (笑)

木 そんないきなりゴミ袋がいっぱいにならへんやん。

更 ウフフフ。今も「無い〜無い〜」言うてますよ。

 

― いいことか、悪いことか分からないですね(笑)。

 

木 結果的にはちゃんといっぱいになるんやけどね。ゴミ袋もいろいろ歴史があったよね。

Q うん。

木 最初は45ℓの袋。なかなかいっぱいにするのが難しいし、いっぱいになったらなったで重くて運ぶの大変やから、それを段々30ℓとか15ℓの袋に持ち替えていって。

更 そうですね。

 

― すごいですね、段々洗練されていってる。

 

木 あと全員がゴミ袋持たなくていいとか。

更 ああ、あったあった。

木 今、全員は袋持ってへんよな。

更 誰かとシェアっていうのが多い。全員持たんでもええやんって。

木 毎月いつやるかも決めてなかった。

更 そうですね。今みたいに第3水曜日って決まってなかったですよね。ふんわりとはじまった気がする。

木 車や自転車が危ないってことを警戒して、無難な賀茂川[3]沿いからはじまってんな。ただでさえゴミが少ない賀茂川沿いをみんなでね。

更 そうですね。最初はみんなでぞろぞろと。

木 先に歩いてる人がゴミを拾っちゃって、後ろの人はゴミが無いみたいな(笑)。だからだんだんグループ分けもしていって。今は上賀茂地域[4]を6エリアに分割してる。

 

― なるほど。なんか年表作りたくなってきた(笑)。

 

木 だから例えば南-1エリアの人は自分たちのエリアに着くまでは、その間に通る他のエリアのゴミは拾わないっていうルールがあんねん。

Q でも、拾ってしまうねんな。

更 拾いたくなりますもんね。

 

― 拾いたくなるゴミとかあるんですか?

 

更 煙草の吸殻を見つけたらもう…。あの側溝の網々の中にはまってるのを見つけたら拾いたくて仕方がないんですよ。でも、エリアが決まってるから拾ったらあかんと思ってこらえるんですけどね。

 

― エリアに入ったら拾い出す?

 

更 「やったー!」って。吸い殻を拾うたびに嬉しくて、嬉しくて(笑)。

木 回を重ねるごとに他にもルールができていったよね。畑に入っちゃいけないとか。

Q それとか火バサミを車に当てないとか。

木 「首に気をつけろ!」っていうのもあるな。

 

― 首に気をつけろ?

 

木 車道のゴミを拾う時に、昔あちゃみちゃんが危ない目にあってん(笑)。北山通り[5]でね。足は歩道にインしてるんやけど、首が車道にアウトしてんねん。そこに市バスがやって来て、もうちょっとで首をもがれかけた。「首ポロリ」ね。

一同 (笑)

 

― 「首ポロリ」なってたら、もう「ゴミコロリ」無かったですね(笑)。

 

木 そうそう。そういうピンチがあったから、気が利く人が車道側に立って歩道側の人を守るとかするようになった。

 

― どんどん更新されてますね。どうやってバージョンアップされていくんですか? 木ノ戸さんが決めてるんですか?

 

木 そんなことないよ。

 

― 畑に入らないとかは?

 

木 あれはやっぱり誰かが畑に入って怒られたからやな。おれが言ったんかもしれんね。「畑はどうやら入ったらダメみたいだ」って(笑)。危ない目っていうとね、Qさんがゴミを拾うか? 命を守るか? っていう2択に迫られた時に、命を捨ててゴミを拾いに行ったことが忘れられへんねん(笑)。

一同 (笑)

 

― それ、どういう状況ですか?

 

木 賀茂川沿いのまあまあ車通りが激しい土手があって、ビニール袋がふわふわと舞ってたんやね。Qさんは車とゴミ、両方の情報をキャッチして迷ったわけ。で、「いける!」って判断したんやけど、めっちゃ危なかってん(笑)。

 

― ビニール袋は取れたんですか(笑)?

 

Q 取れた。

木 だからおれ、あちゃみちゃんが市バスに首をもがれかけたやつと、Qさんが車に轢かれかけたやつ、あの風景を見れただけで「ゴミコロリ」やった甲斐あったなって思ってる。

一同 (笑)

 

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― 僕、事務所に自転車で行くんですけど、朝、銀行の人とかいろんな人が掃除してたりするんです。

 

木 必ずやってるよな、あれ。

 

― あんまりいい感じには見えないんですよね。

 

更 ああ、言われたしやってるみたいな?

木 言われたからやってるんやと思うで。おれらは別に誰にも言われてないもんな。

更 自分らは楽しんでやってるし。

木 普通の「ゴミ拾い」に参加したことある?

更 普通の「ゴミ拾い」は無いですね。「ゴミコロリ」でやったのがはじめてですね。

 

― 僕は何回かありますね。小学校の授業でなんですけど、山の中でいろんなゴミが落ちてるのを拾いましたね。

 

木 「ゴミコロリ」と「ゴミ拾い」の何が違うんだろうと考えた時に、「ゴミ拾いしましょ」ってなったら「面倒臭い」って気持ちになるやん。

 

― 見てる方は面白くないですよね。面白くないというのが基本で、あとはちょっとウザいとか、押しつけがましいとか、ゼロからマイナスに気持ちが傾くんですよね。

 

木 なんか清らかなものを見せられてるような感じがするよね。

更 恩着せがましい?

木 そう。「ゴミ拾い」にはどうしてもポジティブに捉えざるを得ない暴力性というか、押しつけがある気がする。そのへんが「ゴミコロリ」にはあんまり無いんちゃうかなあ。

 

― 確かにそうですね。

 

更 楽しんでやってるしね。

木 「ゴミコロリ」がお金にならないか? っていう議論した時期はあったやんな。

 

― そういう議論、やっぱりあったんですね。

 

木 あった、あった。

Q でも「ゴミコロリ」ってお金にならへんやつやろ?

木 せやで。でも「ゴミコロリ」に広告つけようかっていう時期もあったやん、スポンサーを。でもスポンサーをつけるとやっぱり顔色をうかがったり一気に制約かかるし、無い方が「Swinging」だって、こうやって好きな風にできるわけやん。

 

― そうですね。スポンサーの宣伝になりますからね。やっぱり裏が見えてしまうというか、やらしい感じがしますよね。ゼッケンは「第1回」からあったんですか?

 

木 「第1回」からあった。あっ、そういう意味ではちゃんと準備してたんやなあ。火バサミもあったし、ゴミ袋もあったし。区役所行ったり、最初はおれが段取りしたんやと思うで。

 

― 区役所行くんですか? こういう活動しますって?

 

木 毎月、区役所行って申請してんねん、実は。もう馴染みやけど。行政用語で「一斉清掃」って言うの。

 

― ええ〜、「一斉清掃」!?

 

木 大勢で一斉に清掃するっていう意味で。坂本一生[6]かと思った。

更 ああ、でも高橋一生[7]の方が…。

木 でもって何やねん(笑)。

一同 (笑)

木 そういう意味ではスポンサーは行政やんね。

 

― そうですね。そう考えると、あながち自分たちが楽しいからやってるだけではないような気がしますね。行政のひとつの活動として、それを代行してるって感じしますよね。

 

木 ………。

 

― そこまでではないですか?

 

木 いや、それ新しい考え方やなあ。

 

[1]「ゴミコロリ」の広報部隊、「まち美化戦隊ゴミコロレンジャー」の構成員。全員、ゴミブルー。

[2]現在、唯一の女性ゴミブルー。あちゃみがゴミブルーやから「ちゃみブルー」。

[3] 京都市内を流れる一級河川。

[4]京都府京都市北区上賀茂。名所として賀茂別雷神社(上賀茂神社)、深泥池等があり、国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けている。

[5]京都市街地北部の東西幹線道路。現代感覚をとり入れた建物が並び、ブティック、飲食店等も多い。

[6]さかもと・いっせい。タレント。旧芸名は新加勢大周(しん・かせ・たいしゅう)。

[7]たかはし・いっせい。俳優。

 

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「ゴミブルー」の登場

 

Q ゴミ拾いと「ゴミコロリ」の差は〜。

木 あ、すごい。最初に戻したな(笑)。

Q ゴミブルーがいるかいないかだと思うんだけど。

木 その心は?

Q ゴミブルーだけ警察に捕まるから。

木 確かにね。警察に捕まるゴミ拾いなんて無いもんな(笑)。

Q  でも段々覚えてもらって、今がある。

更 うんうん。そうや。

 

― ゴミブルーは最初からいたんですか? ゴミブルーを登場させるきっかけとかあったんですか?

 

木 最初はいない。

更 何きっかけやったかな? 覚えてないな。

木 覚えてないの?

更 忘れてます(笑)。

木 ゴミブルー初登場は「第50回」の時ね、ちょうど5年前ぐらいやわ。

更 あ、そっか。

 

― じゃあ、結構ためてたんですね。もっと早いこと出てたイメージが。そのぐらい計画されていたというか狙いすましてやってたのかと。

 

木 「第50回」に至るまでにもゴミブルーはいたんよ、キャラクターとしては。イベントに出たりね。でも「ゴミコロリ」本体にはずっと登場してなくて。やっぱりね〜、この上賀茂地域って伝統的で歴史もある地域やから(笑)。

 

― 「第50回」まで温められてたと。

 

木 「お祝いやし盛大にやりましょ!」ってノリで出した。で、やってみて「意外と大丈夫!」っていう手ごたえを得たんやと思う。警察に通報された時期は…ちょっと分からんなあ。

更 50回の時とちゃいます?

木 記憶力すげーな。あちゃみちゃん、そん時いた?

更 いましたよ。

木 Qさんは?

Q いたよ。

木 ビビった?

更 ビビりましたよ、もちろん。

 

― チャリンコで来たんですか、警察は?

 

木 パトカー3台。

 

― パトカー3台!? すごいっすね。

 

木 だって超不審者やもん。

一同 (笑)

 

― 僕も夜、家帰ってマンションの前にゴミブルーがいたら通報すると思います(笑)。

 

木 でも今は警察に通報されたりする気しないんやけどな。コンビニ入って買い物だってするしなあ。だいぶおかしいよなあ。

更 はいはい。

 

― それはかなり。このご時世ですからね。

 

木 コンビニも入るやろ。もう平気で交番にも行けるんやから行けない場所ないやん。

更 そうですね。

木 第1回目からゴミブルー登場させて、「クレジットカード落ちてたんですけど」って交番に行ったらたぶん射殺やんね。ゴミレッドになるな。

 

― いや、ゴミパープルになりますね。

 

一同 (笑)

木 なんかね、実感としてはどこに行ってもセーフなんよね。ゴミブルーをおかしいと思わない周りの視線もそうやけど、ゴミブルー自身の変化もデカイと思う。

 

― ああ、パフォーマンス力。

 

木 そうそうそう。ゴミブルーが「私たちは異物です」っていう感覚を持ってるとやっぱりそれは伝わると思うんやな。

更 ああ。

木 今はもう、自分がゴミブルーであることを忘れる時すらある。「今日どっちやったっけ?」って。ほんで「あっ、視界が狭いから今日はゴミブルーか」みたいな(笑)。

 

― もう麻痺してる?

 

木 麻痺してる。こっち側も「慣れた」っていうのはあるね。自分の中でもうOKが出ちゃってる状況が緊張感を生まないんやと思う。

 

― それはあると思いますね。犬もこっちがビビると、向こうもビビるみたいな。

 

木 そうそう。だから銀行強盗する人は「銀行強盗感」をいかに出さないかが勝負やねん。

一同 (Qを見る) 

Q しーひんわ!

一同 (笑)

更 まだ自分は恥ずかしさが残ってますね。

木 失格!

更 うう、失格は困る…。

 

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「ゴミブルー」の力

 

― ゴミブルーがいるっていうのはやっぱりすごいですよね。

 

木 「全ての属性をかき消す」っていうのがゴミブルーのすごいところ。「男/女」とか、「障害者/健常者」とか、「頭おかしい/おかしくない」とか。

 

― うんうん。

 

木 例えば変なカチューシャ付けたりするわけやん、Qさんは。その場合、「ゴミコロリ」必須の火バサミはたぶん逆効果で、周りの人からしたら「子猫の首を拾いまわる人」みたいに見えると思う(笑)。で、ゴミブルーの存在が猫殺しのQさんを…。

Q 猫殺しちゃうで!

一同 (笑)

木 「アブナイ人」扱いされかねない人がいても、もっとビジュアル的なインパクトがあるゴミブルーに目がいくっていう。車イス押されながら「ゴミコロリ」やってるKAZUSHIくんだって、ゴミブルーになると「目が見えにくい」とか「歩きにくい」とか、そういう「障害」的な視点が破壊されてしまう。

 

― そうか〜、それは面白いですね。いろんなもんをゼロにするというか。Qさんはゴミブルーにならない?

 

木 ゴミブルーに必要なのは体形とやる気だけ。Qさんはやる気があっても体形が…。

Q (スーツに体が)入らん。

木 だから塗るしかないな(笑)。

更 ボディペイント(笑)。

木 ゴミブルーがもはやセーフやからアウト作んないと(笑)。

 

― 物理的な問題ですね(笑)。じゃ、逆にサイズがあればQさんもやりたい?

 

Q あんまり。

木 ほんとは入りたいくせに!

 

― でもなんかハメが外れるっていいですよね。昔だったらお祭りとか普段の自分じゃなくなれる機会って結構準備されてたような気もするんですよね、無礼講な感じというか。そういうのが最近無い気もするんで、ゴミブルーがそういう役をやっているような感じもしますけどね。

 

木 「ハレ」と「ケ」みたいなことをすごく考えたことがあったんやけど、そういう意味では落ち込んでる日でもこれ着たら「ハレ」にならなくちゃいけない! っていう回路が働く。あちゃみちゃんだって調子のいい時ばっかりブルーになってるわけじゃないやん?

更 そらそうですよね。

木 ゴミブルーを見る側の人も「ハレ」になるよね。「ケ」の人は通報するか、スルーやわ(笑)。

 

― それこそ獅子舞とかでも、中に「誰々のおっちゃんが入ってる」って分かってるけど、盛り上がる前提ってあると思うんですよね。それにちょっと近いと思います。

 

木 うん、近いね。「上賀茂幼稚園」 の裏門とか分かりやすいよな。

更 ああ、うんうん。

木 幼稚園のところに小さい門があって、ゴミブルーに気付いた子どもたちが「あのオッサンやろ!」って寄って来んねんけど。

更 増田ブルー が一番じゃないですかね、やっぱり。

 

― バレてるという(笑)。

 

木 バレてることも織り込み済みで「こないだゴミブルーで来てた人や!」っていう認知が成立していて。だから何年か前まではゴミブルーじゃないと手を振られなかったわけ。

 

― うんうんうん。

 

木 で、今は増田政男その人に手が振られるわけね。

更 私もまれに「ゴミレンジャーの人や」って言ってくれる子がいて。増田ブルーには適わんけどあそこまでなりたい。

木 増田さんは子どもひとりいたら(緊張で)スウィングに来れなかった人やで。そう思うとやっぱり、あのマスクの持つ力ってなんかあるなあ。

 

― いや、あるんじゃないですか、やっぱり。簡単に言うとスウィングがやってる「ごっこ遊び」やと思うんですけど、幼稚園児からしてもそれに乗っかれて単純に楽しいっていうのもあるし、やってる側の心境の変化とかも含めると、ちょっと心が楽になるみたいなのがあるんかなと。一瞬リアルな自分を離れられることによる解決というか、何かと距離を取れるというか。

 

木 「ゴミコロリ」をしてるだけで「私たちは平日の真昼間から胸張ってゴミ拾いをしています!」みたいな解脱感はあると思う。なんか「ゴミコロリ」ってなるとちょっとだけ気合い入るよな。

更 よっしゃ! 頑張るぞ! みたいな。

木 そういう意味では相当、非日常的な「ハレ」やと思うんよ。ある種の優位性を感じてるのかもしれない。でもゴミブルーは特にそうやわね。いつもの自分じゃなくなって一層「ハレ」の世界に飛べる。

 

― カメラマンもそんな感じですね。成田とかでもカメラを持って撮りに行くってなるとカメラを武器にちょっと変な人にならないと人に接近しきれないみたいな。何かしら非日常性みたいなものを出すことで人との距離を縮めるみたいなことはあるみたいです。

 

木 うん。人と人との間の敷居を下げる。

更 「ゴミコロリ」きっかけの増田さんと子どもたちとの関わりとか、スウィングも全然休まなくなったっていうのがすごいし、今は増田さんがいなければ「ゴミコロリ」盛り上がらへんのちゃうかなと思うくらいですね。

木 すごいよな。

 

[8]かずし。2013年よりNPO法人スウィングに所属。芸術創作活動「オレたちひょうげん族」にて愛してやまない「志村けん」を頂点とした独自の表現世界を展開中。

[9]京都市立上賀茂幼稚園。スウィングのチョーご近所。

[10]増田政男が中身のゴミブルー。増田政男については下記。

[11]ますだ・まさお。2006年よりNPO法人スウィング所属。左官屋、自衛隊、夜の街での(あり得ない)豪遊等々、さまざまな経歴(?)を持つ。かつては休み癖がひどく、最盛期は出勤率3割を誇る。

[12]成田舞(なりた・まい)。写真家。第16号より夫の坂田佐武郎氏とともに「Swinging」の制作に関わる。2009年、littlemoreBCCKS写真集公募展大賞・審査員賞 (川内倫子氏選)。2008年littlemoreBCCKS写真集公募展審査員賞 (松本弦人氏選)。

 

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「持続性」と「場開き」

 

― 10年という時間もすごいですよね。「ゴミコロリ」ってネーミングも「ゴミブルー」もアイデアがすごいなあっていうところが目につきがちなんですけど。それと同じくらい10年続いてて、そのアイデアを受け入れてくれる地味な地元の認知の広がりみたいなものが面白いなって。

 

木 「ゴミコロリ」を通じて増田ブルーが知られて、結果的に増田政男その人が子どもたちから愛されてる。増田さんがこうなった過程って増田さんの中でも引き継がれてゆくものやし、地域の中でも引き継がれてゆくものやんか。やっぱり「毎月1回」って続けてゆくのが大事なこと。そういう地道さしかないよね。積み重ねやなあ。

更 そうですね。

 

― 京都は特にそういう部分あるかもしれないですね。

 

木 ゴミブルーが出る出ないに関わらず、たぶん見てる人は見てたと思うよね。だって目につかないわけないやん、あんな2、30人で。ゴミブルーがいなくてもおかしいで、そら。

更 ああ、青のゼッケンつけた集団が。

木 やっぱり、相当怪しかったんちゃうかな。

Q うん。

更 今は「ゴミコロリ」してたら「ありがとう」って言ってくれる人の方が多いですよね。

木 昔はなんか言われたの? 悪いこととか。

更 昔はどうやったやろ? あんまり記憶に無いけど「ありがとう」の言葉はなかったかな。

木 それは、あちゃみちゃんがPTAみたいなオーラ出してるからと違うん?

一同 (笑)

更 ええ! そんなことないですよ。でもまだその頃はなんか、地域の人も声かけにくかったっていうのもあるんでしょうね、たぶん。

木 そらそうやろうね。

更 今は気軽に声かけてくれはるし。

Q 「ご苦労様です」って言ってもらえる。

木 「苦労してへんわ!」って逆ギレせーへんの?

Q なんでや!

 

― 10年間、台無しですね(笑)。

 

一同 (笑)

木 暑いから寒いからって止めないもんね。1年通して必ずやるっていう地道さがやっぱり一番物を言うんじゃないかな。

更 吹雪の中もやったし。

Q 雨の中でも。

 

― 「敷居の低いイベントが定期的にある」というのは地域的な住みやすさにも繋がるんじゃないかと思うんです。

 

木 そういう「装置」が必要な時代であり社会なんやと思う。「装置」なんか無くてもそうなればいいんやけど、たぶん「装置」を作らざるを得ないんやと思う。でも、それらしい不自然な一過性の「装置」では文化として根付いてゆかない。「ゴミ拾い」って誰が見ても分かるから根付くよね。でもQさんの絵は「誰もが」にはならない。

Q なんでや。

木 おれは今日もQさんの詩見てゲラゲラ笑ったけど、面白くない人には面白くないやん。

更 そりゃ、読んだ人の目線ていうのはそれぞれやし。

Q 見る人によって個人差があるっていう。

木 そういうこと。

 

― 「ゴミコロリ」にはそれが無いということですよね。

 

木 誰も文句のつけようが無いっていうか。そこが「踏み絵」みたいなもんで、仇でもあるんだけど「どうぞ踏んでください」的な余地を残しているところがあざとい(笑)。

 

― もうひとつ大きいなと思うのが、「ゴミコロリ」は他のスウィングの活動と違って積極的に外に出てますよね。「持ち出し型スウィング」というか。

 

木 そこに面白さがあると思うんよね。今「場を開く」っていうことに対してすごく関心が寄せられていて、そういう試みがたくさんある気がする。でもただ開けばいいってもんでもなくって、開いた気になってるってことが多いと思う。

 

― うんうん。

 

木 「場を開く」っていうのは、「私たちのこの感じに反応する人、来てください!」って特性を持つやんか、当たり前に。つまり、ある文化っていうのはどうしても人を限定する。「オープンですよ」って言いつつ実はすごく限定してる。いい悪いじゃなくてね。それは「ゴミコロリ」も一緒なんやけど、いかにそのハードルを下げるか? っていうのが肝心やと思う。最近多いやんか、「お気軽にお入りください」とか書いてある立て看板。でも、入りにくいもんは入りにくい。「場を開く」っていうのは、「ウェルカムな状況で待つこと」じゃなくって、「ウェルカムな状態でその場の異文化を持って外に出ていくこと」やと思うねん。自分たちのテリトリーの中で「待つ」っていうのは実はすごい閉じてる。怖がってる。でも「場を開く」っていうのはそれぐらい怖いことなんやと思う。そういう意味では展覧会とかは「待つ」しかできないから難しい。でも「ゴミコロリ」の場合は「待つ」んじゃなくって「勝手に通りすぎる」やん?(笑) ゴミブルーがコンビニで買い物もするやん?(笑) そういう「待つ」んじゃなくって「動く」場の開き方をしたいんよね。

 

[13] スウィングは芸術創作活動「オレたちひょうげん族」から生まれた作品群を発表する主催展覧会を、毎年3回程度開催しているのだ!

 

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「ゴミコロリ」は続くよ、いつまでも。

 

― 「ゴミコロリ」の心得をお願いします。3つ集まるはずなんで。

 

木 3つ集まった時、何が起こるんやったっけ?

一同 (笑)

更 ドラゴンボールもらえる(笑)。なんやろ、心得…。ゴミを見つけたら人に取られるな。

木 最低やな(笑)。パンデミックとか起こった時にスーパーで1番最初に盗み働くやつや。

更 えええ! それは無いっす(笑)。

木 まあ、いいや。じゃ、ちゃみブルー目線で。

更 ちゃみブルー目線やったら…子どもの笑顔は大切。フフフフ。

Q 子どもだけか? 「ゴミコロリ」とは「いたちごっこ」なり。

一同 ああ〜。

木 でも捨てられんと仕事にならへんわけやろ? それはどう思うの? 「いたちごっこ」やとゴミ捨てる方が悪いみたいになってるやん。

Q 微妙。

更 「微妙」ときた(笑)。

木 捨ててほしい?

Q 微妙。まあ、どっちにしろ「いたちごっこ」には違いないから。誰かが捨てるから拾う。

更 なるほど。ゴミが無いと「ゴミコロリ」はできないってわけで。

 

― 持ちつ持たれつ(笑)。

 

木 でも、やらんでも誰も困らんわけでしょ? それが心得やと思うなあ。やった方がいいと思うようなことに意味が無くって、やらんでええと皆が思ってることの方に意味がある気がするんよね。「ゴミコロリ」は誰も一銭も儲からへん。だけどみんなすごく充実感があって「金になることが全てじゃない」っていうことをちゃんと証明してるひとつやと思う。それが人ひとりにとってすごく大きな意味を持つものやということ。

更 ほんまにね、拾うことが生きがいになってたりするしね。

木 生きがいやったら毎日すると思うんやけど、してへんやん(笑)。

更 「ゴミコロリ」の時だけやるから〜。

木 そうそうそう。生きがいみたいになってしまうと、それはそれでしんどくなると思うわ(笑)。

更 でも毎月の楽しみではありますね。

木 そうね。楽しみ方も人それぞれやんか。休憩時間のアイスが楽しみでやってる人もいるし。

更 ほんまですね(笑)。

Q ゴミブルーになるのを楽しみにしてる人もいるし。

更 もうちょっとやってもいいかなと思ったりもするけど。週2ぐらいでやったら京都市内すっきりする(笑)。

 

― 週2。多いですね(笑)。

 

2017年11月6日(月)収録/写真:成田舞

(フリーペーパー「Swinging Vol.23/特集:『ゴミコロリ』という仕事。」より転載)

 

※ フリーペーパー「Swinging」は、スウィング賛助会員の皆さまからの会費を原資に制作・発行を行っております。→

※ 全国津々浦々「お! それウチに合うよ! 置くよ!」という店舗さま等いらっしゃいましたら、スウィングまでご連絡ください!(10部〜20部程度)

※ 全国津々浦々「お! あの店に置いたらええんちゃうん?」的な情報がございましたら、スウィングまでご連絡ください!

→ Tel:075-712-7930

→ Mail:swing.npo@gaia.eonet.ne.jp(木ノ戸)

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