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【クソ真面目エッセイ-13】妹

 

東京の吉祥寺で、障害者施設で作られる雑貨ばかりを専門に日本全国から集めて販売する「マジェルカ」というショップを営んで今年で6年になろうとしています。その活動の中で感じる様々を、不定期ですが普段からブログとしても書きつらねているので正直ネタ切れ気味で、今回SWINGさんからこのコラムのお話を頂いてから、今さら何を書こうかとても迷ってしまいました。聞けばテーマはなんでもOKといの事なので、それなら私的に過ぎて自分のブログではあまり書かない、というか書きにくい事でも書いてみようかなと。

 

障害者の作る商品を販売しているというといかにも人が良さげで意識の高い人物を想像されてしまうようで、それが実際に会ってみると正反対の下衆っぷりにがっかりされてしまう事も多い私なのですが、事実この商いを始めるにあたっての動機も、障害者福祉の抱える課題を解決したいぜ! エイエイオー! といった火傷しそうな熱い思いからではありません。今でこそあちこちで目にする機会が増えたけれど、当時はまだほとんど誰にも知られていないお宝を発見したという事に強く興奮をおぼえてマジェルカを始めました。とはいえ、さすがにそれだけではなく、自分の妹に障害があるという事もこの障害者の世界に関心を持つ理由の一つとしてあったと考えています。ただ、だから何故? と問われるとはっきりとはいえないのだけれどやっぱり影響はあったのだと思う。妹が障害者手帳を取得したのは大人になってからで、障害があるのか無いのか判断が微妙な、いわゆるボーダーといわれるタイプでした。そんな妹と家族の中では私がおそらく一番身近な立場で暮らしていたと思います。昔は「知恵遅れ」なんて言葉もあって、親から「彼女は知恵遅れだからしょうがない」なんて言葉を事あるごとに聞きながら私は育ってきました。「だからあなたが助けてあげてね」とも。

 

靴の左右を履き違えるなんていうのはざらで、集団登校の時には周りの子供たちにからかわれながら一緒にいる自分がよく履き替えさせたりしていました。特殊学級ではなく通常学級に通っていた事もあるのでしょう、学校ではいつもいじめられたりからかわれたりしていて、時には私が妹のクラスに仕返しに行くような事も。そんな私もだんだん成長するにつれ、いつも周りに笑われる彼女の事が恥ずかしい存在に感じられてきて、履き違えた靴をイライラしながら乱暴に直したり、いじめられていても見ないふりをするようにしたり、無邪気につないできた手を振り払ったりするように。今思えば彼女に対してというより「俺はコイツとは違うんだ!」という周りへのアピールだったのかもしれません。同時に家の中でも色んな事ができない、なんとかさせようと教えても理解ができない彼女に対して腹を立てる事も多くなり、時にはひどい言葉を投げつける事も。 そんな時の彼女はいつも悲しそうな情けなさそうな複雑な表情をしていたものです。本人にそれとはっきり聞いた事はないし、きっと自分でそうと理解をしているわけではないと思うのですが、そんな悲しかったり情けなかったりする気持ちというのは相手の私たちに対してではなく、できない自分に対して持ってしまうのだろうなと。

 

そんな表情と同時にうす笑いを浮かべる事もよくありました。それはきっとそれ以上目の前の相手を怒らせないようにしていたのでしょう。自分が何故怒られるかもよく分からないままに、どうしたら怒りを納める事ができるのかが分からないままに身につけたのでしょうか。私にとってそんな時はいつも後味悪く、思えば私自身も彼女のそんな感情を本当は分かっていたのだと思います。

 

罪深いと思うのです。元々持ち前の無邪気さで繋いできた手を振り払い続けるうちに、手を差し出す事をやめ、相手の目をうかがう事ばかりさせるようにしてしまった。何が罪深いかって、一体何が悪いのか自分でもよく分かっていない、それが分かれば納得もできるだろうけれど、それどころかなぜ怒られるのか理解さえよくできないのにただ相手が怒っているからと卑屈にふるまわせるなんて。相手のその怒りがいつも正しいとは限らないのに。

 

いつからかその罪を少しずつ返していくようにしてはいるつもりですが、まだまだ先は長いようです。彼女は別にそれを望んでいるわけではない、というかこんな事自体別に気に留めてはいないかもしれないけれど(笑)

(フリーペーパー「Swinging Vol.22」より転載) 

 

文:藤本光浩(ふじもと・みつひろ)

2011年に日本全国の障害者施設で作られる雑貨のセレクトショップ「マジェルカ」を立ち上げ、現在は東京の吉祥寺で運営し、売り手の立場から福祉事業所の現場とお客様をつなげる役割を実践。

http://www.majerca.com/

 

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