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【揺れるシセツチョー】その男、沼田亮平につき

沼タンク/Q/2016

 

以前の職場で共に職場改革を目指した同士であり、またスウィング立ち上げメンバーのひとりでもある沼田亮平。けれど二〇〇六年、殆ど資金的な裏付けなくはじめたスウィングに彼を雇う余裕はなく−当時、僕の“月給”は千円を下回っていた−、沼田は時間を見つけてはスウィングに顔を出し、いつ来るとも分からないスウィングで働ける日を夢見ていたのだった。

そんな沼田がスウィングで働きはじめたのは二〇〇七年四月、スウィング設立二年目の年からである−運良く、あるいは努力の甲斐あって補助金交付が決まったのだ−。割合に早いタイミングで沼田を迎え入れることができ、「また一歩前に進んだなあ」と感慨に浸ったのは束の間、僕はひとつの事実を痛烈に突き付けられることになる。それは沼田の極端なまでの不器用さである。え? こんなにも口下手で、こんなにも仕事の要領が悪い男だったの? ほんで何でいっつもバタバタパニくってんの? 以前の職場では職場自体の環境が余りにも酷すぎて個々の力に目を向ける暇などなかったし、僕もスウィングも当然今よりずっと若く、いろいろな意味で余裕がなかったこともあるだろう。けれどひとりの力が大きく物言う小さな職場において、この不器用な四六時中パニクり男を一体どう活かしてゆけばいいのか。沼田のことばかり考え、眠れぬ夜を何度過ごしたことだろう。口を開けば沼田の愚痴しか出ない酒を何度飲んだことだろう。もちろん当の沼田本人も(眠れなかったことはないらしいが)深く悩んだ。出来ない自分に真摯に向き合い苛立ち、笑いの絶えない日々の中にあっても、基本的には拭いきれない不全感を身にまとい続ける苦しい日々を送った(はずだ)。

その一方で沼田はスウィングの誰からも愛された。笑顔のQ氏に常にボコボコにされていたり、誰しもが持つやり場のない感情をぶつけられる「壁」(悪く言えば「的」)になったり、不必要に慌てふためく様子をたくさんの笑顔で見つめられたり(はっきり言えば笑われていたり)、沼田本人にとっては少々分かりにくいものだったかもしれないが、とにかく皆に愛され続けてきたことは疑いようがない。しかしながら愛されるだけでは仕事も組織も上手く回らない。僕は注意深く沼田を見つめながら、時間をかけてスウィングの仕事と沼田の仕事が重なる部分を探し続けた。スウィングには子どもと関わる場面が多いが、そういう時の沼田はいつも本当に楽しそうな表情を浮かべている。毎年、秋に必ず見せるジェスチャーゲーム(わく星学校運動会、お決まりのプログラム)での演技力には光るものがある。あるいは時と場合を問わず、追いこまれた時に見せる瞬発力にはたくさんの人を笑わせる力がある。そうして少しずつ、ワークショップやゴミブルーや寸劇等、子どもを楽しませる仕事を担当してゆくようになった沼田は、その本領を眩いばかりに発揮しはじめ、文字通りスウィングになくてはならない存在となったのである。…にも関わらず、当の沼田は相も変わらず眉間に皺寄せ、難しい顔をし続けているではないか。一体どうして?

そう、沼田は自分の出来ることには目を向けず、出来ないことが出来るようになることをいつまでも追い求めているのだ。確かに出来ないことを出来るようになりたいという気持ちや心意気は大切だと思うが、そもそもこの社会に蔓延し、恐らく多くの人を苦しめている出来ることは=良いこと(素晴らしいこと)、出来ないこと=悪いこと(ダメなこと)といった価値観って一体何なのだろう。ホント何これ? 教育? マジで意味分かんない。出来ることはただ出来るだけ、出来ないことはただ出来ないだけ、良い悪いでもないし、それ以上でも以下でもない、これじゃいけないんだろうか?

 

ええ加減「“まともに”出来るようになりたい」を捨てて、自分自身の“らしさ”に賭ける勇気を持て。

 

これはつい最近、僕が沼田に投げかけた言葉だ。出来ないことはもうさっさと諦めて、自分が出来ることを精一杯やり続けて欲しい。そしてこの諦めこそが、出来ないことが出来るようになることの出発点にもなり得るのだから。ああ、こうは言っても眉間に皺寄せ頭を抱え、悩み続けるあの姿がありありと目に浮かぶ。少し気の毒な気もするが、この泥沼のような生真面目さこそが、他ならぬ沼田“らしさ”なのだろう。

(フリーペーパー「Swinging Vol.21 総力特集:永遠のリストラ候補 沼田亮平 」より転載) 

 

文:木ノ戸昌幸(きのと・まさゆき)

NPO法人スウィング理事長。立命館大学文学部日本文学専攻卒。NPO、演劇、遺跡発掘等々の活動・職業を経て、「毎日笑えるよ」という友人の勧めで障害のある人に関わる仕事に就く。2006年にNPO法人スウィングを立ち上げ、「障害福祉」の枠を超えた創造的な取り組みを通して、社会を変えてゆきたいと願ったり願わなかったり。

 

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