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【クソ真面目エッセイ-12】不器用+勢い=沼田亮平

 

沼田亮平:1979年5月6日生まれ。B型、おうし座、左利き。生まれた時に看護士さんが受け取り損ね分娩台から落ちたため、しばらく高熱が続く。その影響で現在も腎臓が普通の人の半分くらいしか働いていない(今なら裁判でたくさん慰謝料をもらえていたに違いない…)。現在37歳なので、腎臓の年齢は74歳。

 

スウィングに勤めて早10年。今号の「Swinging」は「総力特集・沼田亮平」。自分ではなんのことやら…という感じであるが、とにかく総力特集である。普段口下手な分、今回はこの場を借りて出来る限り自分のことをさらけ出そうと思う。

 

先日、特集ページのために『ひとりの「ただの男」を掘り下げるということ』と題した3時間に及ぶ座談会を開催していただいた。結果どうであったか? 自分でテープ起こしをして感じたことは「コイツ(=自分)全然しゃべらんなあ…」である。いったい何をそんなに躊躇しているのか? というくらいにしゃべらない。発行部数7,000部にビビッているのか? いや違う。常に「正しい答え」を答えようとばかりしているのだ。もちろん僕が「正しい答え」を持っているわけでもないし、そもそも「正しい答え」なんて存在しない。強いて言うならば、自分への質問なのだから自分の返す言葉が正解なのだが、何かがブレーキを踏んでしゃべらせない。僕の言葉を皆が待ってくれているのに。

 

その原因を突き詰めてゆくと中学2年生の頃まで遡る。僕は当時、クラスでも明るい方だったと思う。授業中に冗談を言って笑わせることもよくあった。だが、ある日授業中に冗談を言ったクラスメイトの男の子が「おもしろくない」とクラス中からボロカスに言われ、泣いてしまった。その光景を見た日を境に、急にしゃべれなくなってしまった。恐らくこれが「他人の評価を気にする」ようになった初日である。

 

その日から“そこだけ”を見て生きる人生がはじまった。しかし、それだけにとどまらず、他人からの評価を怖れるあまり、「評価されないようにしよう」と心がけはじめた。なるべく意見を言わず、表に出ず、自分が傷つかないために息を潜めていようとした。ただ、幸か不幸か逃げることも上手く出来なかった僕は、今度はただひたすら「上手くやろう」とばかり考えるようになった。「そこがアナタの魅力ではないよ」と誰しもが気づいていたのだろうが、自分だけは気がつかず、「なんとかせねば」とひたすら自分を変えようとした。もちろん上手く出来ずに見当違いの失敗ばかりする。知らなかったのか、それとも知らないふりをしていたのか、自分が「不器用」であることを「ちゃんとせねばならない」という思いで覆い隠し、出来ない自分を否定する自己嫌悪の日々を、二十数年間に渡って送り続けた。

 

自分が目を背け、否定し続けた「不器用」こそが強みであり、沼田らしさであると言われ続けて10年目。まだまだ過去の呪縛を完全に解くことは出来ていない。しかし、スウィングで寸劇やワークショップを担当させてもらい、「人前に立つ」という自分が最も恐れていた場面を繰り返し経験してゆくことで、思いもしなかった「自分らしさ」の端っこを掴むことは出来たように思う。ガチガチに緊張し、読み込んだ台本のセリフをすっ飛ばしながらも、「勢い」だけを頼りに乗り切ってきた。それでもまだ過去の自分は「上手くやれ、上手くやれ」と耳元でささやいてくる。それこそが否定すべき自分であり、さんざん失敗してきた原因でもあるのに。

 

二十数年間の呪縛から解放される日はまだ先だと思うが、ようやくスタートラインに立つことは出来た。「器用に生きたい」「上手くやらねばならない」という自分自身にかけ続けた呪縛を解く場所がここにあること、またそんな呪縛に苦しみ悩む自分を諦めずに見守り続けてくれる人たちがいることを今一度心に刻みつつ、自分らしく、「不器用」に生きる道を進み続けたいと思う。

(フリーペーパー「Swinging Vol.21 総力特集:永遠のリストラ候補 沼田亮平 」より転載) 

 

文:沼田亮平(ぬまた・りょうへい)

1979年5月6日生まれ。大学時代はボランティアサークルに所属。地域の児童館をまわり、人形劇や工作のワークショップを行う。卒業から十数年の時を経てこれらの経験が活きることになるとは、当時の沼田は夢にも思っていない。

 

※ フリーペーパー「Swinging」は、スウィング賛助会員の皆さまからの会費を原資に制作・発行を行っております。→
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