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【座談会】ひとりの、ただの男を、掘り下げるということ

 

「永遠のリストラ候補」と呼ばれながら、スウィングで唯一無二の輝きを放ち続ける男がいる。その男、沼田亮平。ひとりの、ただの男。このただの男に徹底して向き合うことで、そして沼田自身が徹底して自分に向き合うことで、見えてくるものはあるのかないのか? そこに普遍性はあるのかないのか? …やってみないと分からないからとにかくやってみようぜ!

 

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プレッシャーの源

木ノ戸:「Swinging」のことをちょっと振り返るとね、18号、19号と結構お金もかけて一生懸命「障害者アート」を特集しました。で、前号(特集:「軽度」の「障害者」と呼ばれて。)のは割と気楽にやったんですよね。でも、今まででいちばん反響があった。具体的には会員がめちゃくちゃ増えたり。で、今回の特集が「沼田亮平」。どう転ぶかわからへん(笑)。沼田君、全然プレッシャー感じてないって言ってたけど、今はバリバリ感じてるの?

沼田:そうっすね。

全員:(笑)

木ノ戸:何に対してのプレッシャー? 全国に7,000部配られるっていうことに対して?

沼田:何ていうか…内容…。この数時間でちゃんとものになるだけのことを喋れるかっていう…。

西川:真面目やなぁ。

木ノ戸:内容? 7,000部配られるのは別に気にならんのやろ?

増田:あんまり気にしないんすか? そういうの。

沼田:内容です、だから。

木ノ戸:マジで⁉ 特集「西川雅哉」、嫌やろ?

西川:絶対嫌です。7,000部全部回収に行くわ。

全員:(笑)

亀井:そこじゃないってことですか?

沼田:実際に7,000部言うても、直接その相手が見えるわけじゃないっていうか。

木ノ戸:沼田君からは見えなくても、相手からはめっちゃ見られんで。

沼田:それは全然。

亀井:7,000って、ねぇ…。

木ノ戸:じゃ、フリーペーパーじゃなかったら? お金出して買われるとしたら?

沼田:あ、でも別にそこじゃなくて、やっぱり中身が。この数時間でちゃんと読んでもらえるだけのもんが出せるかって、そこだけです、僕は。

木ノ戸:そうなん? 狂っとんなぁ(笑)。

全員:(笑)

 

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パニクリスト(=テンパリスト)沼田亮平

木ノ戸:沼田君、ド凹みしたん、あれ、いつやったっけ?

沼田:一昨日です。

木ノ戸:あそこまでのは見たことなかったな。あんなに人前で凹んだ沼田君。

沼田:凹んだというか。え〜と、自分らしさの話ですよね、だから…。

木ノ戸:おれも西川君もね、いっしょに遅くまでね…。沼田君は自分らしさに悩んでんねん。増田さん、沼田君の「らしさ」ってなんやと思います? もう12、3年の付き合いでしょう?

沼田:長いっすねぇ。

木ノ戸:増田さんが休んでた日以外はずっと会ってるんですよ。

全員:(笑)

増田:そうですね、休みがち[1]だったんで(笑)。沼田さんらしさねぇ、何なんすかねぇ。なんかこうテンパってるわけじゃないんですけど、そういう風に見えるっていうか…。

 

[1]最盛期の増田は出勤率3割を誇る(つまり7割欠勤)。

 

木ノ戸:テンパってるわけじゃない? テンパってるんですよ。

全員:(笑)

増田:テンパってるんだと思うんですけどね。だから仕事に関しても何にしても頭がパンパンになってね、沼田さんの場合は。本性というか、本当の沼田さんをオブラートで包んでるように感じるんすよ。

木ノ戸:オブラートに包んだら、あんなに露骨にパニクりますかね?

増田:とったらパニクりどころじゃないと思いますよ。

亀井:とったら? オブラートを? 

増田:もっとひどいことになるかもしれないっすね。

沼田:でも、そうかもしれないです。

木ノ戸:えっ、何? パニクってる時もやっぱりオブラートに包まれてるんや?

沼田:包まれてます。

亀井:もっとすごいってことですか?

西川:包んでるのか…あれで。たぶん包めてへんと思うよ。包み方がちょっと…。

亀井:雑!

木ノ戸:“眉間のしわ”が合図やんな。自分では分からへん?

沼田:自分では分からないです。はい。

西川:普通パニクるところでパニクらないんですよね。この前のワークショップは台本無しのぶっつけ本番でも普通でしたよ。

木ノ戸:何でなん? 場数を踏んできたから?

沼田:いや。

木ノ戸:舞台上がったら吹っ切る感じの人なん?

沼田:あぁ、そうやと思います。

木ノ戸:かっこええなぁ! 越路吹雪[2] と一緒やん!

 

[2] 言わずと知れた日本を代表するシャンソン歌手であるが、いつも本番前には舞台袖でガタガタ震えて緊張していたという。1980年没。

 

西川:10周年パーティー[3] の司会も、はじまる前の緊張ひどかったですもんね。

 

[3] NPO法人スウィング設立10周年記念パーティー(2016年6月18日開催)。全国各地より130名を超えるご参加をいただいた。

 

沼田:はじまってしまったらしょうがないっていうか。でもやっぱり「上手いことせなあかん!」っていうのがずっとあって、そこに縛られがちというか。

木ノ戸:考え過ぎんねんなぁ…。沼田君の「らしさ」って、おれは「勢い」と「瞬発力」って言うたやん? それは分かる?

沼田:ワークショップの場とかではそうやなって分かるんですけど。日常の中でどうそれを持ってくればいいのかというか、どう位置づけたらいいのかが分かっていなくて。

木ノ戸:西川君の思う沼田君の「らしさ」は?

西川:「不器用」。

木ノ戸:「不器用」は知ってるん?

沼田:そこはもう、はい。重々分かってます。

西川:「不器用」なのに、何か器用にやろうとしてる自分も分かってる?

沼田:はい。上手いこと何とかしようって。

亀井:何とかせんとあかんのですか?

沼田:「不器用」って何ていうか、いいことじゃないですもんね、だって。

西川:高倉健は「不器用」やで。

木ノ戸:高倉健を否定すんのか? 死んだ人を悪く言うな!

沼田:高倉健を悪く言ってるわけじゃないですけど。

西川:どんななりたいん?

木ノ戸:「不器用」じゃなくなりたい?

沼田:あぁ、そうですね。

木ノ戸:マジで!? ほな、もう沼田君じゃなくなるやん。

亀井:ほんまや。

木ノ戸:器用になったら、たぶんスウィングにいられなくなると思うよ。もう、沼田じゃないって。

亀井:別人ですもんね。

木ノ戸:違う人を雇ったことになるやん(笑)。

増田:何でそんなに「不器用」が嫌なんですか?

木ノ戸:しつけ?

沼田:あぁ、そういうことじゃないですかね。

増田:しつけとか、そんなんあるんですか?

亀井:「不器用」があかんって?

沼田:そら、「不器用」はあかんって普通言うでしょ。

木ノ戸:言われたこと無い。おれ、何でもできたもん。

亀井:それでしんどかったんですよね。

木ノ戸:そやで。学校行けへんくなるくらい。

亀井:そや、そや。それでしんどいこともあるってことですよ。

沼田:それがもう、意味分かんないですよ、だから。

全員:(笑)

増田:沼田さん、今後どうしたいんですか?

木ノ戸:ず〜っと、悩んでるもんなぁ。

沼田:今後はだから「不器用」をどう活かしていくかを考えようと思ってます。…考えたらあかんのかな?

木ノ戸:「不器用」ってのはやっぱりあれやんね。強み弱みで言うと弱みの方やんね。

沼田:はい。そうやと思います。

木ノ戸:弱みの方やから力になるんやって。

沼田:あぁ、なるほど。

木ノ戸:でも、器用になりたい自分をあきらめきれへんのや(笑)?

沼田:…。

 

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「沼田-亀井ライン」の真相

木ノ戸:子供の頃も「不器用」やったん?

沼田:どうなんすかねぇ、あんまり覚えてないんですよね。

木ノ戸:平均的な子供やったって感じ?

沼田:そうやと思います。

木ノ戸:「不器用」やと思い出したのはいつ頃なん?

沼田:たぶん中学2年ぐらいまであんまり考えなかったんやと思います。で、中2ぐらいから何か上手いことしようみたいに思いはじめて。で、こうドツボにはまっていくというか。

木ノ戸:何で中2やったん? 何かきっかけがあったわけじゃないの?

増田:トラウマとかなかったんすか? 中学時代に。

沼田:あったんすかね…。何かあったんかもしれないですけど、ちょっと分かんないです。

木ノ戸:ワキ毛が生えたとかそういうやつ?

亀井:そんなんもありそう。

沼田:全然関係無いと思います。何か大勢の前で喋らないとか、授業中も当たらないようにするとか、静かにしておくというか。その頃の感じをたぶんまだ引きずってるんじゃないですかね。

増田:中2からずっと引きずってるんですか?

沼田:上手いことせなあかんみたいな…。

木ノ戸:あの〜、「沼田-亀井ライン」ってよく言うてるやろ? 沼田君は分かりやすくパニクる。でも亀ちゃんは非常に分かりにくくパニクる。でも下の子たちとかには“しっかりした亀井さん”って言われてる。

亀井:しっかりしてないのに。

木ノ戸:しっかりせなあかん病。で、実際にそういう風に見せることに成功してんねん、ある意味ね。でも、そこにしんどさがあるわけやん、きっと。「不器用」なのに器用にならなあかん沼田、しっかりしてないのにしっかりせなあかん亀井。シンクロ!

亀井:おぉ〜!

西川:ここはハイタッチせんと。

木ノ戸:「不器用」やしできひんねん(笑)。だから、これがおれが言うてる「沼田-亀井ライン」。…今、わかったん?

沼田:はい。

亀井:えぇっ!?

増田:今!?

木ノ戸:沼田君って、亀ちゃんのパニクり見えてへんの?

沼田:あんまり見えてないですね。

亀井:成功してる(笑)。わたし、沼田さんパニクってるなって見えてますよ。

木ノ戸:全世界が見えてる(笑)。

亀井:でも、なんか沼田さんがテンパってて、それ見てほっとしますね、なんか。

全員:(笑)

木ノ戸:テンパる人の気持ち、西川君分かる? テンパることってそらあるやん?

西川:はい。分かります。よくテンパってますよ、僕も。でもテンパっててもしゃあないってなるんですよね、最終。テンパってもしゃあないんで、テンパるのやめようってなるんです。

亀井:どうしてはるんですか?

西川:やめたらええねん。

亀井:えっ、違う違う。深呼吸するみたいなこと…。

木ノ戸:やめんねん。あきらめんねん。手放すねん。

亀井:えぇぇっ!?

沼田:(大きなため息)

亀井:手放したらどうなるんですか?

西川:手放して見えることもあんねん。

亀井:誰かが代わりにやってくれるってことですか?

西川:いやまぁ、そういうこともあるし。手放すことで客観視できるし、こうしたらいいんかって分かることもある。

木ノ戸:亀ちゃんがいくら力んで展覧会作ろうが、楽に展覧会作ろうが、たぶん一緒なんよ、結果は。じゃあ、何でしんどい道を選ぶんやろ? っておれには見える。

亀井:う〜ん…ベストを尽くせ! みたいな感じなんですかね?

木ノ戸:がんばればいいものができるっていう幻想やな。

沼田:あ〜、なるほど。

亀井:呪縛や!

増田:呪縛ですね。

木ノ戸:でも沼田君、テンパった時に力出すっていうのがあるからなぁ。

亀井:すごい(笑)。

木ノ戸:テンパった時はもうやるしかないんやんね?

沼田:はい。

木ノ戸:「勢い」と「瞬発力」。

西川:いったん、テンパらなだめなんやね、沼田さんは。沼田さんがテンパると周りがざわつくんですよね。

全員:(笑)

木ノ戸:周りが喜ぶ(笑)。亀ちゃんが感じた安心感のようなものをみんな感じてる。

亀井:みんな、それ見てほっとして。でも沼田さんはしんどいまま…。

増田:それもまたきついわな。

沼田:…そうですね。

 

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華麗なる職歴

木ノ戸:魚屋は楽しかったの? あれ「勢い」だけやろ?

沼田:そうですね。

木ノ戸:ほれ、適職や。

亀井:何で魚屋でバイトしようと思ったんですか?

沼田:そういう仕事をしたことなかったから。

木ノ戸:職歴は? いちばん最初は?

沼田:「地方労働委員会事務局」ですね。

木ノ戸:そんなん、どこで見つけたの?

沼田:ハローワークです。時給がよかったんで。

亀井:何でそこ辞めたんですか?

沼田:産休か育休かの代理で入ったので復帰しはって辞めました。その後、福祉施設に半年。

木ノ戸:そこはリストラやんね? 何て言われたんやっけ?

沼田:僕が直接言われたわけではないんですけど、僕より動けている人が「個体としての能力が低い」って言われてはって。僕のこともそう思ってはるんやろうなと。

亀井:別の人が言われてたことを聞いて「自分の方が低いな」って思って、それで辞めたんですか?

沼田:それが直接の原因じゃないけど…。

木ノ戸:結局、自分から辞めたん? スウィングに来るタイミングやったから?

沼田:いえ、その次が魚屋です。

木ノ戸:魚は何がいちばん売れたん?

沼田:いちばん売れたのは「ブリ」じゃないですかね、やっぱり。

木ノ戸:…「常識やろ?」みたいなニュアンスで言うのやめてくれる?

亀井:でもスーパーの魚屋って、そんな「いらっしゃーい!!」みたいな感じじゃないですよね?

木ノ戸:沼田君は言うてたんよ。革命起こしたんやんな(笑)?

沼田:いや、みんな言うてましたよ。楽しかったです。

木ノ戸:じゃあ、魚屋辞めたのはスウィングに来るってことが決まったから?

沼田:そうですね。

木ノ戸:(魚屋とスウィングを)天秤に掛けた?

沼田:いえ、掛けてないです。

亀井:何でスウィングに来ようって思ったんですか?

木ノ戸:何でっていうか一応はじめから働くことは決まっててん。スウィング設立直後で雇えないから待機状態やったんやんね。

 

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哀しき永遠

木ノ戸:で、スウィング来て10年?

沼田:10年目です。

木ノ戸:最初の頃にゴミブルー[4] とか10周年で司会するイメージはあったん(笑)?

 

[4] スウィングが展開する清掃活動「ゴミコロリ」の広報部隊、「まち美化戦隊ゴミコロレンジャー」の構成員。全員、ゴミブルー。

 

沼田:全く無かったです。自分の中に無いと思っていたもの、いちばん苦手でできないと思っていた部分ですから。増田さんもゴミブルーに最初は抵抗あったじゃないですか?

増田:はい。結構ありました。

亀井:ノリノリじゃなかったんですか?

木ノ戸:(最初にゴミブルーになった時)なかなか着替えへんねん、この2人。

亀井:えぇっ⁉

増田:そうですよ。最初は恥ずかしいっていうか、沼田さんもあったでしょ? 入ったら自分を解放できるっていう感じなんですけど。

沼田:まあ入ってみるまでは分からんっていう感じですね。

増田:今は「仕事やしがんばろう」とか「子どもらにアピールせなあかんし夢を壊したらあかん」って思ってやってます。

木ノ戸:寸劇[5] も最初の時は緊張してたけど、今は「あそこ、もっとこうできた」とかしか言わないですもんね(笑)。

 

[5] 小学校低学年男子に的を絞り込んだ寸劇、「まち美化戦隊ゴミコロレンジャー登場!!」を各地で上演中。

 

増田:そうですね。自分の演技に反省点はありますね。沼田さんは?

沼田:プラスの部分はあまり。反省ばかりですね。

亀井:プラスの部分無いんですか? 全く?

沼田:…今の自分がいいとは全然思ってないからね。

木ノ戸:「できた!」とは思わへんの?

沼田:「もっとこうしたら良かった」の方が大きいですね。

西川:あれ以上、何をしようとしてんの?

木ノ戸:フルパワーやろ? もっといけるん?

沼田:やり切ったという実感が無いというか、「ホンマにこんなんでええんか?」という感じですね。

西川:今までに達成感を感じたことってどんなこと?

沼田:う〜ん、達成感…。あんまり無いかもしれないです。覚えてないです。

木ノ戸:暗いな〜(笑)。じゃ、自分から離れてスウィング全体のこの10年はどう見える?

沼田:いろんな側面があるというか、スウィングの見え方が多彩になったと思います。

木ノ戸:そこに自分が大きく関与しているとは思わないの?

沼田:大きくとは思わないです。

亀井:けど、ワークショップとか沼田さんがおらんと上手くいかないこととかあると思うんですけど。

沼田:ワークショップは新たに見つけた自分というか、「不器用」と「勢い」が上手くはまったというか。そういう意味では手ごたえがある気がします。

木ノ戸:スウィングにとってはすごく大きいことやけどね。増田さんはこういう沼田君を見てどう思いますか?

増田:変わってないっちゃ変わってないんやけど、変わって欲しくない部分もあるし、変わって欲しいと思う部分もありますね。

木ノ戸:変わって欲しい部分を大事にしがちなんやな、沼田君は。でも、変わって欲しくない部分っていうのも分かるやろ?

沼田:そこは自分の中ではあまり良くない部分やと思ってしまってる。

全員:(ため息)

木ノ戸:良くない? 誰が決めたん?

沼田:自分が決めました。思い込んでるというか。

亀井:嫌いなところってことですか?

沼田:そうやね。あかんところ。

 

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木ノ戸:じゃ、自分の好きなところは? チャームポイント。

沼田:…無いですね。好きなところ。

全員:……。

木ノ戸:増田さんが言う、変わって欲しくない部分ってどこなんですか?

増田:ずっと“眉間のしわ”を寄せといてほしい。それが沼田さんやから。

西川:チャームポイントや!

沼田:どこがいいのかさっぱり…。

木ノ戸:ミステリアスやな(笑)。じゃ、例えばQさんとかちゃんと沼田君の悪口言うやん? あんなんの方が気持ちいいわけ?

沼田:分かりやすいです。

木ノ戸:悪口が? 悪口の方がピンとくるんや?

西川:Qさんの悪口、ピンとくる? 割とピントがズレてるけど(笑)。

沼田:「何でやねん!」とは思いますけど、「いいね、いいね」って褒められてるよりは実感があります。

西川:褒められたくない? 褒められ慣れてない?

沼田:どこを褒めてんのか…。

木ノ戸:じゃ、褒められるよりも叱られてる方が?

沼田:そら実感しますね。

木ノ戸:褒められている自分は「嫌いな自分」、叱られている自分が「好きな自分」なん?

沼田:好きではないですけど。

亀井:褒められてる自分は自分じゃないってこと?

沼田:実感が無い。

西川:重症やな…。

木ノ戸:じゃあ、スウィングで働いてきていちばんムカついたことは?

沼田:う〜ん。出てこないですね。

木ノ戸:いちばん嬉しかったことは? 心がはしゃいだこと。

沼田:南大路町[6] 地蔵盆に呼んでもらえたことですかね。

 

[6] 京都府京都市北区上賀茂南大路町。スウィングの所在地。

 

木ノ戸:何でそう思うの?

沼田:地域の人に認められた実感があったんやと思います。児童館との交流[7] を毎月できるようになったのも嬉しかったですね。

 

[7] 「京都市上賀茂児童館」の子どもたちと毎月必ず1回以上遊んでいる。スウィングにとって、とても大事なこと。

 

木ノ戸:南大路町に住んで児童館に勤めたらええやん。

全員:(笑)

木ノ戸:じゃ、今回のキャッチコピー、「永遠のリストラ候補」についてはどう思ってる?

沼田:不安ですね…。

亀井:“永遠の”やからリストラされないんじゃ?

西川:「リストラ」って言葉だけに踊らされてるな。

木ノ戸:亀ちゃんは沼田君の話に共感する部分はあるの?

亀井:「自信が無い」とかは一緒ですけど。とりあえずやってみて、出来上がったものに対しての反省はあまりないです。「いいものができた!」と思えます。

木ノ戸:そこが違うとこやな。

亀井:だから、もっと「やったー!!」とか思わはったらいいのに。

木ノ戸:そう思えた瞬間に沼田君じゃなくなる(笑)。

亀井:そうか。…えぇっ⁉ じゃ、ずっとこのままですよ? 永遠ですよ?

木ノ戸:永遠の沼田亮平や。

全員:(笑)

 

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沼田からの逆質問

木ノ戸:みんなに逆質問してみたら? 必ず下の名前で呼んでね(笑)。

沼田:自分の「らしさ」の活きる先が今のところワークショップだけ。マサヤは〜…「不器用」と「勢い」を他にどう活かしたらいいと思いますか?

西川:「不器用」とか「勢い」という言葉に囚われがちなんやと。深く考えずに、変に準備せずに。「不器用」とは? 「勢い」とは? とか考え出すとおかしくなると思う。

沼田:マサオは〜…自分を追い込こむ癖があったじゃないですか? そこが変わった実感とか乗り越えた瞬間ってあったんですか?

増田:今んとこに引っ越してからやと思います。それまでは言えなかったこともあったし、言いたいけど言えないモヤモヤを持ちながら仕事に行ってたこともあったんですよね。人からどう見られてるか気にしたり。緊張の糸をずっと張りっぱなしで、ずっとひとりで悩んでたんですよ。引っ越してからは、みんなにマンションに来てもらって嬉しい部分もあったし、そこから変わったんじゃないですかね。安心感で変われた。それで今の自分があると思います。

沼田:トモミは〜…自分がコンプレックスだと思っていることを褒められたら嬉しいですか?

亀井:自分が知らないことなら、そんな一面もあるんか〜って思います。言われてみないと分からんかったな〜とか、それでいいんやな〜とか。

沼田:僕は自分が「不器用」で「勢い」があるっていうことを知らなかったということなんやなって。知らなかったことを教えてもらったということなんですね。コンプレックスというよりも知らなかったということ。マサユキは〜…10年間ずっと僕に対して「そのままでいい」ということをいろいろな方法で伝え続けてきて、でも、まだ僕は同じところで悩み続けている。それでもあきらめずに言い続けてくれる理由ってどのへんにあるんですか?

木ノ戸:沼田君が自分のことをどう思おうが、おれは沼田君のままでいいって思ってる。だから勝手に苦しめばいいし、悩み続ければいい。沼田君をあきらめないってことは、自分をあきらめないってことと同じ。だから沼田君にメッセージを投げながら自分にもメッセージしてる。そう言い続けることしかできない。…ということで今日は何点?

沼田:良かったですか?

木ノ戸:良かったかどうかは分からん。

亀井:そこが不安やったんですね…。

西川:テープ起こし自分でするんやからええやん。話、盛れるやん。

沼田:盛り方が分かんないです。…点数は70点ですかね。

木ノ戸:…意外と高い!

 

from date:2016.12.21

(フリーペーパー「Swinging Vol.21 総力特集:永遠のリストラ候補 沼田亮平 」より転載) 

 

※ フリーペーパー「Swinging」は、スウィング賛助会員の皆さまからの会費を原資に制作・発行を行っております。→
※ 全国津々浦々「お!それウチに合うよ!置くよ!」という店舗さま等いらっしゃいましたら、スウィングまでご連絡ください!(10部〜20部程度)
※ 全国津々浦々「お!あの店に置いたらええんちゃうん?」的な情報がございましたら、スウィングまでご連絡ください! → Tel:075-712-7930 → Mail:swing.npo@gaia.eonet.ne.jp(木ノ戸)
※ 現在の配架先については(情報が古いですが)コチラをご参照ください。→
※ 次号「Swinging Vol.22」はもうちょっとだけ先! 2017年6月15日発行の予定です!

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