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【ariya. 24号】一般就労 vs. 福祉就労 〜前篇〜


                                                      カメ/安東遠 /2014

障害福祉業界には「一般就労」「福祉就労」という言葉がある。(障害福祉業界“外”の友人に対して、この「一般就労」について熱く語っていると、何やら不思議そうな顔をしている。うまく話が通じない。普段、当たり前に使い過ぎていて気づかなかったが、そうか、これは業界用語だったのか。)「一般就労」は「企業就労」とも言ったりするが、簡単に言えば障害のある人が一般企業で就労すること、対して「福祉就労」とは、障害のある人が福祉施設で就労することを意味する。

最近、僕はこの2つの就労の違いがよく分からなくなって混乱している。

この業界、あるいは社会を取り巻く空気の中に、「一般就労」の方が「上」で「福祉就労」は「下」…という価値づけが間違いなくあり、これまでもそうした価値づけについて「なんでやねん!」という思いはあったものの、同時になぜ「一般就労」を「上」とするのか、何となく(いや、確実に)分かる感じもあった。けれど最近、本当に分からなくなってきたのだ。いやいや、ただの働き方の違いであり、上下の問題ではないのではないか?何を狂ったように「一般就労!一般就労!」言っているのか?良かれ良かれとされる「一般就労」にデメリットはないのか?そもそも2つに分ける必要さえないのではないか? と、猛烈に疑問符が湧いてきたのである。

…つい今しがた、絶妙のタイミングでこんなFAXが届いた。「ご案内/A型・B型事業所から一般就労へ」。続いてこんなリード文が続く。「あなたの事業所の…あの人、この人の“働く力”“働きたい思い”を“かたち”にするサポートをします。」…いちゃもんを付けたいわけではないが、バカにしているのかと思う。現に一生懸命働いている人の“働きたい思い”を“かたち”に…って、一体どういうセンスやねん!ついでに言うたら「一般」てなんやねん!「福祉」は「一般」と違うてか!(そう、この「福祉」を「一般」の外に置くという感覚…。これはどうも就労の場面に限ったことではなく、相当根が深い。)

「一般就労」を否定する気はまるで無い。そんな否定には何の意味も無いし、「一般就労」を望む人がいて、その願いが叶い、その人が幸せであればこれはもう言うことが無い。しかしながら一方で、昨今の「一般就労」押せ押せムードには「ホンマにそればっかりでいいの?」と大きな不安を感じるし、「一般就労」とひと言でいえど、それは一体誰のため?何のため?と、色々と勘繰りたくもなってしまう。実際、スウィングには「一般就労」を経験した人も多く、その数はスウィングの総メンバー数(26名)のおよそ半数に及ぶ。そして、そのほとんどが「クビ」という形で終わりを告げられ、スウィングという「福祉就労」の場で働く現在に至っている。

「一般就労」が業界特有の用語であることが示すように、障害のある人が一般企業に就職することは、そうでない人に比べてなかなか難しい…というより“合わない場合が多い”のは明らかである。これは障害のある、その人固有の問題ではなく、むしろ「効率」を最優先とする社会構造や産業構造の問題といえるだろう。障害そのものが障害となるのではなく、暮らしてゆくことや働くことに不自由が生じた時、それははじめて障害となる。飽きることなく「効率」を追い求めるこの社会の中にあって、障害者がどんどん増やされてゆく。社会が掲げる標準に「合わない」人が障害者という括りにカテゴライズされてゆく。そして「合わない」という烙印を押された人たちが、なぜか再び「合わせる」ことを強いられ、あるいは「合わせる」ことを望んでいる。僕には「一般就労」というものの在り方が、時としてこのように歪んで見える。

「福祉就労」は「効率」という一面的な尺度から取り残されたダメな就労の形なのだろうか?「効率」は「収益」に繋がり、「収益」とはすなわち「お金」である。ならば就労とは、お金だけを追い求めることなのだろうか?「Mr.Children」が「そんな時代さ〜♪覚悟はできてる〜♪」と歌った時代よりも間違いなくそんな時代なこんな時代である。甘いと言われようが何と言われようが、自殺者が年間3万人を超え、「一般就労」といわれる場で過労死する人は年間約1,000人(労災認定件数。実態は…?)にも及ぶという。益々こんな時代だからこそ、むしろ「福祉就労」の持つ価値や意味が逆に高まっているとは考えられないだろうか。僕たちはもっともっと「福祉就労」という在り方に、胸を張り、誇りを持つべきなのではないだろうか。実際、今「福祉就労」の場で、「福祉就労」の場ならではの、「福祉就労」の場だからこそ出来る商品の数々が世に流通し、共感を持って迎えられつつある。また、スウィング・メンバーの中にも、一面的な就労観を引っくり返すような多様でオモロい就労の在り方を示す人々が、次々に現れ出てきている。

果たして福祉施設は、まだ見ぬ「一般」社会へ巣立つ準備をする、中間施設に過ぎないのだろうか?「福祉就労」は「一般就労」に劣る、永遠のモラトリアム期間なのだろうか?うまい感じに含みを持たせつつ、後篇では実例を交えて考えてゆきたい。(続く。)

木ノ戸昌幸(NPO法人スウィング 施設長)


※ この文章は「ariya. 24号」より転載しました。

※ 後篇はコチラ →



ひらめきアリヤ ariya. とは? 〜始まりは、小さな一歩。〜
アリヤは、福祉施設で作られる製品や福祉の活動を中心に紹介します。製品の良さを知ってもらい、購入してもらうことで、障害者の雇用促進と自立支援をめざしています。印刷は福祉工場で行っており、購読料の一部は障害のある方々の工賃に繋がります。アリヤは、広告に頼らず、読者が支える本です。ひとりひとりの存在は小さいけれど、みんなで助け合い、支えあえばきっと誰もが幸せに生きていけるはず。地に足をつけ、蟻の目線でゆっくり歩いて行きたい。そんな思いをこめて『蟻の家=アリヤ』と名付けました。(アリヤWEBサイトより)

→ アリヤ ariya. 
http://www.arinoie.com

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