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「不健康」という生き方


向井さんは愛煙家である。「タバコが高こうなってしゃあない」といつも愚痴りながら、安いタバコを美味しそうにくゆらせている。
先日聞いて驚いたのだが、向井さんがタバコを吸い始めたのは“お母さんのすすめ”がきっかけだったという。恐らく数十年前の話なので社会背景も今とは大きく違ったのだろうが、それでもタバコを母親が我が子にすすめるというのは珍しいケースだったのではないだろうか。お母さんが愛煙家だったわけではない。タバコ産業のドンだったわけでもない。向井さんから語られたその理由はこのようなものであった。

「タバコ吸うたら一服できるやろ?僕は何にでもカーッとなってしもて途中でブレーキがきかへん性格やから、ホッとして一息つく時間作るためにタバコでも吸いなさい言わはったんや。」

事の良し悪しは別として、元は喫煙者であった僕にはこの意味がよく分かる。よっぽど意識をしないと無限に生まれ続ける仕事の手を休めることって案外、難しい。心身の疲労がいつの間にか蓄積し、気が付けばヘトヘトになってしまっている…いつまでも自己管理が苦手な僕はこのパターンに陥ってしまうことがままある。

“不当”なまでの嫌煙ブームも相変わらず、健康、健康とうるさい世の中である。けれど健康の尺度をどこに置くのかなんて、本当はとっても微妙な話だし、時代に真っ向から逆行するかのようなこのエピソードには、凝り固まった健康志向を心地よく弛緩させてくれる力がある。昔、向井さんが「いそがし、いそがししてたらあかん。 1日に1時間くらいはぼーーっとせなあかん。」、そんな風に僕を諭してくれたことを思い出す。向井さんと向井さんのお母さんの姿が、ぼんやりと重なって見える。

「健康」を志向することがその人の権利や生き方の一つであるとすれば、「不健康」だってまた然り…とは言えないだろうか。(ああ、僕に限りない安心感を与えてくれる、「愚行権」とも絶妙に繋がる。)
折角やめたタバコを今からまた吸おうとまでは思わないが、自分の健康に…いや、自分の不健康に対してくらい、もっと自由でいたいものである。

木ノ戸
| 哲人・向井久夫 | 19:08 | comments(0) | trackbacks(0)
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