2009.01.07 Wednesday
ドラマチック1970
1970年。
我が父・ヒロユキ29歳、我が母・ミユキ20歳。
京都で働き京都で出会い、京都で暮らす、
父、母、ああ懐かしの恋人時代である。
この年、猫も杓子も万博、万博、世のカップルたちはこぞって大阪へ。
しかし折悪しく、若いふたりは喧嘩中。
万博へは行きたい、けれどお互いムカムカ、まだ仲直りには程遠い。
…そこでふたりはそれぞれが別の男性、女性を誘い、
別々に万博へと向かったのであった。
「当てつけ」合戦である。
父が誘ったのは会社の同僚であるS木さん、
母はというと、今ではさあ、誰と行ったか名前も顔も思い出せないらしい。
そんな素直になれないふたりではあったが、間もなくめでたく仲直り、
2度目の万博は、愛媛からやってきた父の母(つまり僕の祖母)
と妹(現スウィング賛助会員。おばちゃんいつもありがとう。)らと一緒に、
目一杯楽しんだとさ。
ちゃんちゃん。
…と、ここまでの話はこれまで母から何度となく聞かされていた。
耳にタコだが、何度聞いてもほほえましい感じがするし、
あの堅物の父がほかの女性を!?、という意外性も面白い。
しかし年末年始帰省の際、このエピソードには
新しいエッセンスが加えられていた。
父が母への「当てつけ」に誘ったS木さんの想いである。
昨年の11月、母は当時の懐かしい同僚達と京都で久しぶりの再会を果たし、
その席でS木さんの気持ちをはじめて知ることになる。
当時、S木さんは父のことが好きだったというのだ。
母にとってはまさか!!だった。
S木さんは美人でおまけに性格もいい、
「勝てるところのない」女性だったらしい。
そんなS木さんに父が好かれていたことを母は誇らしく嬉しく思い、
父も喜ぶだろうと愛媛に帰るとすぐに、仏前に報告しましたとさ。
再び、ちゃんちゃん。
…ここでひとつの疑問が浮かぶ。
甘酸っぱい、心温まる話ではある。
けれど当時、父がもしS木さんの気持ちを知っていたら??
…母の笑顔が凍りついた。
「お父さん、私のこと選んだやろか……」
決して謙遜しているのではない。
母には全く自信がないらしく、どうなっていたかわからないと言う。
もしS木さんがもう少し積極的な人で、
父に想いを伝え、父がその想いを受け入れていたとしたら、
母は失恋、僕や兄はこの世に存在すらしなかったかもしれない。
…ギリッギリやなあ。喧嘩なんかすなよぉ。
「たら・れば」ではあるけれども、一瞬背筋が冷たくなった。
「あ、そん時のS木さんの写真あるわ。」
母は唐突にアルバムを引っぱり出し、ページをめくる。
若い父母、祖母、そしておばちゃん。
2度目の万博、幸せの風景。
「あ、捨ててしもてるわ。」
恥ずかしげに笑う母。
S木さんの写真は1枚も無かった。
木ノ戸
ほっとはあとクリスマスの作品をスウィングに飾りました。
暗闇で見たら怖そうね…。
我が父・ヒロユキ29歳、我が母・ミユキ20歳。
京都で働き京都で出会い、京都で暮らす、
父、母、ああ懐かしの恋人時代である。
この年、猫も杓子も万博、万博、世のカップルたちはこぞって大阪へ。
しかし折悪しく、若いふたりは喧嘩中。
万博へは行きたい、けれどお互いムカムカ、まだ仲直りには程遠い。
…そこでふたりはそれぞれが別の男性、女性を誘い、
別々に万博へと向かったのであった。
「当てつけ」合戦である。
父が誘ったのは会社の同僚であるS木さん、
母はというと、今ではさあ、誰と行ったか名前も顔も思い出せないらしい。
そんな素直になれないふたりではあったが、間もなくめでたく仲直り、
2度目の万博は、愛媛からやってきた父の母(つまり僕の祖母)
と妹(現スウィング賛助会員。おばちゃんいつもありがとう。)らと一緒に、
目一杯楽しんだとさ。
ちゃんちゃん。
…と、ここまでの話はこれまで母から何度となく聞かされていた。
耳にタコだが、何度聞いてもほほえましい感じがするし、
あの堅物の父がほかの女性を!?、という意外性も面白い。
しかし年末年始帰省の際、このエピソードには
新しいエッセンスが加えられていた。
父が母への「当てつけ」に誘ったS木さんの想いである。
昨年の11月、母は当時の懐かしい同僚達と京都で久しぶりの再会を果たし、
その席でS木さんの気持ちをはじめて知ることになる。
当時、S木さんは父のことが好きだったというのだ。
母にとってはまさか!!だった。
S木さんは美人でおまけに性格もいい、
「勝てるところのない」女性だったらしい。
そんなS木さんに父が好かれていたことを母は誇らしく嬉しく思い、
父も喜ぶだろうと愛媛に帰るとすぐに、仏前に報告しましたとさ。
再び、ちゃんちゃん。
…ここでひとつの疑問が浮かぶ。
甘酸っぱい、心温まる話ではある。
けれど当時、父がもしS木さんの気持ちを知っていたら??
…母の笑顔が凍りついた。
「お父さん、私のこと選んだやろか……」
決して謙遜しているのではない。
母には全く自信がないらしく、どうなっていたかわからないと言う。
もしS木さんがもう少し積極的な人で、
父に想いを伝え、父がその想いを受け入れていたとしたら、
母は失恋、僕や兄はこの世に存在すらしなかったかもしれない。
…ギリッギリやなあ。喧嘩なんかすなよぉ。
「たら・れば」ではあるけれども、一瞬背筋が冷たくなった。
「あ、そん時のS木さんの写真あるわ。」
母は唐突にアルバムを引っぱり出し、ページをめくる。
若い父母、祖母、そしておばちゃん。
2度目の万博、幸せの風景。
「あ、捨ててしもてるわ。」
恥ずかしげに笑う母。
S木さんの写真は1枚も無かった。
木ノ戸
ほっとはあとクリスマスの作品をスウィングに飾りました。
暗闇で見たら怖そうね…。