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「ちゃぶ台返し」のススメ

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我々は「ただ面と向かって話し合うこと」が苦手な種族だ。だからミーティングなり会議なり話し合いなり、何かしら堅苦しさの漂うそんな時間には、その雰囲気をゆるめる仕掛けがあったほうがよいように思う。

月曜日。Qさんは、連日の休日出勤の疲れからだろう、朝からデカい声を出し、理不尽な不機嫌と怒りを露わにし、苦しんでいたようだ。いや、周囲の人間のほうがたまったものではない。僕は午前中、休みを取っていたので詳しい様子は分からなかったのだが、お昼過ぎにスウィングに行くと、彼はベットでグーグーと寝ていた。ナイスだ。調子悪いときに寝るのはとてもいいことだ。「ふて寝をかます」という言葉があるが、現代社会に生きる我々に不足していることのひとつに「ふて寝」があるような気がしている。

 

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やがてムクリと起き出したQさんと目が合う。我々の間には明らかにモヤモヤ(=話し合うべきこと)がある。これをスルーしてはいけない。即、話し合いだ。京一さん、こっちこっち。ちょっと3人で話をしよう。冒頭、「出したくないのに大きい声を出してしまう」とQさんは素直に語った。でも、いかん。それは今この瞬間も! ということではないか。大声を出されるのは普通にイヤだ。僕はおもむろに可愛らしいBICのボールペンの黒いキャップを鼻の穴に詰めこんでみた。京一さんが笑い、最初は見ないふりをしていたQさんもやがて、堪えきれずに笑った。おお、こんな簡単なことで場がゆるんだではないか。(バクチ的な要素もまあまあ強いが)こんなことで笑い合えるなら、これを我がデフォルトにしてもいいのではないか。結果、Qさんの心身に負担のない出勤リズムについて、建設的な話し合いをすることができた。

 

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同じ日の夜、「第42回これから会議」を行った。これは会議がほとんどないスウィングに唯一残されている会議で、文字通りスウィングの「これから」を考えるための時間だ。この不定期開催の会議の参加者はその時々によって違うが、また分けないことを信条としているスウィングではあるが、今回の参加者は、僕と西川君と沼田君とあやちゃんと四至本君とかめちゃん、つまり職員一同であった。

 

新年度からスウィングはその在り方を更新する。更新することだけは決まっているのだが、じゃあどう更新するのか? まだまだ話し合わなけばいけない。現所在地から徒歩1分程度の距離にある、いい感じの(築年数不詳の)町家はもう借りたし、先週の会議で方針の大枠は決まっている。 さあ、今夜はもっと、具体的なところまで詰めるぞ。

 

ボールペンキャップ in 鼻ブームは一瞬で過ぎ去っていたが、とりあえずお菓子をくばり、これからはじまる時間が固く、重くならないように努める。そしてもっとも大事なこと、「いつでもちゃぶ台返しOK!」を何度も何度も繰り返し皆に伝える。

 

 

僕は何だかんだスウィングでは権力者だ。どれだけ綺麗事を言ったとしても、名刺から「リジチョー」の肩書きを消してみたとしても、いつだって圧倒的なパワーを持ちえる、いや既に持っている危険分子だ。 僕の言うことがいつだって正しいわけではないし、僕の考えをベースに進んでゆく話し合いが決して正しいわけではない。誰も未来を、正解を、ベターな選択を知らないからこそ話し合うのだ。だからいつだって、話し合いが、つまり未来が一方向に流れてしまわないために、「ちゃぶ台返しOK!」な雰囲気を作っておかなければならない。何もかもが過剰なこの世界に足りないもの。それは「ふて寝」と、恐らく「ちゃぶ台返し」だ。

 

そして、それは本当に起こったのである。

 

先週も合わせて数時間に渡って話し合い、そろそろ議論も煮詰まったかに思えたそんなタイミングで、見事にちゃぶ台はひっくり返ったのだ。誰が? と言えばかめちゃんがその口火を切ったのだが、当の本人はそのことをあまり自覚していない様子だった。が、95%まで確定していた我々の未来は、確実に、ほぼ一瞬にしてゼロ地点に戻された。僕はこの事態に戸惑い、そして興奮した。いつでもOKとは言っていたものの、それが実際に起こってみると、文字通りちゃぶ台がひっくり返るような衝撃が走る。ワオ! これまでのん、台無し! でも、いつだって後戻りできるってこと、今まさに証明されたよね! 

 

さて、興奮も衝撃も証明もそれはそれとして、僕たちが直面しなければいけないのは目の前の現実と、少し先の未来である。

ちゃぶ台がひっくり返って皆シュンとなったか? 議論が白紙に戻されてオーマイガー! と天を仰いだか? 

全然そんなことはない。ちゃぶ台返しの強烈なダイナミズムはその場を果敢に刺激し、話し合いはより活発に、よりテンポよく、よりダイナミックに進んでゆき、さらにはひっくり返るまでに蓄積されたモロモロもちゃんと、いや、むしろより良くスウィングの未来に反映されたのである。

 

ちゃぶ台がひっくり返ってからおよそ10分後。

事の次第は全て端折るが、スウィングはその一部を「図書館」にすることが決まった。

ちなみに「図書館」なんて言葉は、ちゃぶ台返し以前には誰も、一言も口にしていなかったのである。

 

※ ただし再びちゃぶ台返しの可能性あり。

 

木ノ戸

| スウィンギン・ドキュメント | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0)
そのマリオの弟は違う

 

僕はゴルゴがまあまあ好きだが、自己アピールの度が過ぎるところなど、あまり好きではないポイントも多い。同じく僕はアッキーがまあまあ好きだが、ああ今日も声がデカい! ああ今日もそうちゃんに過干渉している! とかイヤだなあと感じること、頻繁である。誰かを好きということは、イコールその人の全てが好き! ということではないのだと思う。(付き合いが深くなればなるほど)嫌だなとか、苦手だなとか感じるところが1つもないことのほうが不自然だし、「この人の全てが好き!」なんて言葉の中にはウソや偽善の匂いを感じてしまう。即ち、無理して人の全てを好きになる必要なんてない。たとえば僕はゴルゴとアッキーがまあまあ好き。

 

そしてゴルゴとアッキーも客観的に見て、それほど仲が良いというわけでもなく、まあ、ほどほどの付き合いをしているように見える。いや、ゴルゴはアッキーのことが大好きなようだが、アッキーはそれほどでもないらしく、以前にはこんなエピソードもあった。

 

2018.04.27 Friday:図々しさと正直さと傷つきやすさと

 

 

さて、ある日の昼休み。ゴルゴがアッキーに「知らんやんな〜?」というちょっと意地悪な雰囲気を漂わせながら、ある質問をする。

 

 

「アッキー、スーパーマリオって知ってる?」

 

 

……ダサい質問やなあ、おい。しかしゴルゴのいやらしい雰囲気を敏感に感じ取ったらしいアッキー。いつもよりも一層デカい声で「知ってるよ」と答える。そんなん常識やん。何? 僕が知らんとでも思ってたん?

 

 

するとゴルゴ、疑いの眼差しを露骨に向けながら「ホンマに知ってる?」としつこくもう一度聞く。少し腹が立ってきたらしいアッキーは「知ってるよ!」 とさらに強い調子で立ち向かう。

 

 

「じゃあ、マリオに弟がいるの知ってる?」 

 

 

ホントにしつこいな。勝ち負けで会話するのはやめてくれへんかな。さらに強い語気で「知ってますよ!」と返すアッキーに対し、ますますゴルゴも臨戦態勢を崩さない。 

 

 

「じゃあ弟の名前、誰か知ってる?」

 

 

……え? ……名前? ……弟がいるのは何となくおぼえてるんだけど、名前となるとちょっと。……痛いとこついて来ますね、あなた。

癪にさわるけれど(何かに)負けたわ。正直に言うわ。

 

 

「う〜ん、ちょっと分からへん……」

 

 

さあ、遂に(何かに)勝利したゴルゴ。

その態度を一気に尊大に膨れ上がらせながら、厳しいひと言をアッキーに突きつける。

 

 

 

「アッキー、知ったかぶりはあかんよ! マリオとメルー」

 

「ああ! そうか!」

 

 

誰や、そいつは!!!!! 

どこのマリオで、どこのメルーじゃ!!!!!

 

全くもって意味不明だが、なぜだかさっきよりも仲良くなった感じのふたり。「よく知っている」ゴルゴにアッキーは敬意を表し、ゴルゴもまた、「知らない」を素直に告げたアッキーに(優越感を存分に匂わせつつ)敬意を抱いているようだ。

 

どうやら必要なのは「正解」ではないらしい。

 

木ノ戸

| スウィンギン・ドキュメント | 16:28 | comments(0) | trackbacks(0)
未知との遭遇/「ラブライブ!サンシャイン!!」を観る!

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数日前、Qさんから電話がかかってきて、「突然なんやけど、『ラブライブ!サンシャイン‼』の映画、観に行かへん? 土曜日か日曜日に」と誘われた。「突然なんやけど」の時点では、また何かの不満か怒りが爆発するのかと身構えてしまったのだが、まさか映画の誘いだったとは。Qさんと2人、「ラブライブ!サンシャイン‼」を観る。今年は「未知との遭遇」の年。何か予定がない限り、行かないわけにはいかぬ。土曜日は無理だからぜひ日曜日に! 

 

 

ふたりで相談し、午前11時45分上映の回を選んだのだが、指定された集合時間は10時だった。もちろん「……早すぎへんか?」と思ったが、Qさんの時間感覚は心得てもいるし、なんと映画は彼の「おごり」。QさんはCD付きの特別鑑賞券を3枚買ったらしく、その1枚を気前よく僕に提供してくれるというのだ。彼の人柄を良く知る人ならば、この平成最後の奇跡に驚かぬ人はいないだろう。ちなみにQさんが3枚も券を買った理由は、CDが3パターンあったからだそうだ。今、「思う壺……」と心の中で呟いたあなたはとても失礼だと思う(僕もそのひとりです)。

 

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前日の晩の「やっぱり9時にしよか?」という不可解な提案を何とかかいくぐり、当初の予定通り10時に待ち合わせ場所である「MOVIX京都」に着くと、怪しいひとりの男が座り込んでゴソゴソしている。初っ端からすごい。人の目なんか気にしない、自立した1人の人間の姿。Qさんの街中での目撃情報は頻繁に寄せられるのだが、改めて納得である。でもね、そんな急にどこででもしゃがみ込んだら当たられるんも無理ないで……。

 

 

おごりのチケットで座席指定し、それからのおよそ2時間を果たしてどう過ごすか。Qさんは速攻で「ラブライブ!サンシャイン‼」コンボセット(ポップコーン&ドリンク&クリアファイル&コースター)を購入、待合スペースでムシャムシャ食べはじめる。「それって普通は映画を観ながら食べるよね……」なんて野暮なことを言ってはいけない。僕も負けじと(?)ビールとポテトのセット(高い!)を買い、並んで食べる。

 

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映画を観る前に少しでも「ラブライブ!サンシャイン‼」のことを知っておこうとQさんに色々と聞く。なるほど。このアニメはスクールアイドルの物語で、3人ずつ、3学年に分かれているから9人のメンバー編成なのか。だからCDも学年ずつ3種類あったのか(=思う壺)。なるほど。ラブライブ!はグループ名ではなくスクールアイドルの甲子園的なイベントの名前で、主人公たちが結成しているグループの名前は「Aqours」というのか。だからQさんはいつも「Aqours」と書かれた服や帽子を身に着ているのか(どこかの水族館グッズではなかったのか)。なるほど。このアニメは静岡県沼津市を舞台にしていて、だからQさんは「沼津に行きたい」としきりに言っているのか。 

 

 

そんなこんなで長いと思っていた待ち時間もあっという間。上映約15分前にシアター11に行くと、もうズラリと人が並んでいる。すごい人気だ。カードのようなものが入った中身の見えない特典を受け取り入場、席に着き、さっそく封を開ける。わお! 曜ちゃんじゃないか。さっきQさんにパンフレットを見せてもらいながら「誰が好きか?」をやったとき、一番好きだと思った曜ちゃんじゃないか! Qさんは? ん? なんで固まってるの? わお! 「嫌い」って言ってた千歌ちゃん、当たってもうてるやん! さすがでんな! おれ、「好き」って言ったけど「本当に好き」という意味ではないので替えますか? 替えましょう! はい、Qさんニッコリ!  

 

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何と言うか、その空間にいたのは、本当にこのアニメが好きで、本当にこの映画が観たくて来た人たちだったのだと思う―意外にも男性ばかりでなく、若い女性の姿もチラホラ見られ、その人気の幅広さが伺えた―。それにしてもこの一体感のようなものは、かつてQさんと一緒にアイドルグループ、スマイレージのライブを観に行ったときの雰囲気に似ている。映画はよく観に行くが、こんなふうに強烈な「好き!」が集まった、優しい一体感を感じることはまずない。アニメ好きの人やオタクっぽい人を馬鹿にして上から見ているのだろうか。そうではないと思う。僕は単純にこの「好き!」の純度の高さを羨ましいと感じる。こんなふうにワクワクすること、自分にも欲しいなと思う。

 

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そんな気持ちが高じて一瞬、「ここにいる人はみ〜んないい人!」みたいなことも思いかけたが、そうした短絡的思考には気をつけなければならない。それは恐らく「犬好きに悪い人はいない」とか「障害者は純粋」とか「アメリカ人は陽気」とかいう、根拠なき十把一絡げシリーズだ。隣にいるQさんをよく見ながら今一度「ここにいる人はみ〜んないい人!」とか思ってみなさい。一気に白けて、シビアな現実が見えてくるだろう? 

 

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ところで肝心の映画はというと……ん〜っと、主役も脇役も悪役も登場人物みんなが可愛くって、花沢さんみたいな人はひとりもいなくって(これは語弊があるな)、観る前は曜ちゃんが一番と思ってたけど、キャラクターを知ったら鞠莉ちゃんに変わって、沼津市とのタイアップが想像以上で、いろいろありながらも最後は「Aqours」の新たなはじまりを予感させる華々しいライブで終わりました! 

 

 

映画を観終わり、河原町三条にある「王将」へと向かう。そりゃあもう、3連休ド真ん中の河原町は人、人、人で人口密度がえげつない。クラクラしながら「こんなん平気なん?」とQさんに尋ねると「まあ、当たられたりもするけど慣れる」と、超自分本位のような、世慣れた大人のような回答をぶち込まれる。続けて「まあ、マサヤは無理やろうけど」と、人混みが(というより根本的に人が)苦手な西川君を思い浮かべながらニヤリと言う。確かに。西川君は無理だろう。でもQさん、おれも無理やで。もう今現在、限界を迎えつつありまっせ……と、理解されている西川君を少し羨ましく思う。

 

午後2時過ぎの王将はまだまだ大混雑中であったが、映画を振り返りながら遅めの昼食を食べる。「あれ? お金あるかな?」とわざとらしく財布を探るQさん。何枚かある千円札が見え見えだったが、「映画おごってもらったし、ここはおれが払います」とおごらせてもらう。 ふたりガツガツ食べてお腹も落ち着いた頃、Qさんがニッコリ笑って言う。 

 

「映画に人、誘ったんはじめてや」 

 

これは不意打ちの感動ポルノだ。だが不覚にもグッと来てしまう。あなた自立した行動力溢れる人だけど、そりゃあ、たまには誰かといっしょに映画観たいときだってあるよね。

 

 ……ああ、そうか。今日のこの試みは、Qさんにとっても「未知との遭遇」だったのか。

 

木ノ戸

| スウィンギン・ドキュメント | 18:08 | comments(0) | trackbacks(0)
ヘルパーのヘルパー

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「親の年金をつかってキャバクラ SWING EXPO」の象徴的人物でもある増田さんは、およそ4年前からとあるマンションの一室でひとり暮らしをしている。いろいろあって、ありすぎるくらいに本当にいろいろあって、ようやく辿り着いた穏やかなひとり暮らしである。とは言え彼のひとり暮らしには多くの他者が関与している。増田さんは繊細すぎて「ちょっとしたつまずきにもド凹みして長期に渡って引きこもる」という性質があるため、スウィングには「即座に救出する用」のカギが、元気な時の彼の意思によって常時預けられているし、あればあるだけ使ってしまうお金の管理を委ねている居住区の社会福祉協議会には、週に1回、1週間分の生活費を受け取りに行っている(正確には支援者といっしょに銀行口座のお金を下ろしに行っている)。

 

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そして調理と掃除のサポートのため、週に2回ホームヘルパーもやって来るのだが、その際の彼の行動がちょっと、いや、随分と変わっているのである。ヘルパーさんの来訪前、決まって彼は部屋を片づけ綺麗にし、そして時には料理の下ごしらえも済ませ、空調もバッチリ快適! の状態でヘルパーさんを迎え入れ、さらにはヘルパーさんが買い物に出かける隙間時間を縫ってお風呂とトイレの掃除までしてしまうというのだ。増田さん曰く、「ヘルパーさん大変なんで、できるだけ仕事減らしたいんですよ」。対して「助かってます」とヘルパーさん。どどど、どっちがヘルパーやねん! けれどこうした彼の振る舞いからは、どこかお堅い「サービス」という名のもとに【助ける側/助けられる側】とに一刀両断、二分化してしまった関係性を解きほぐす、温かな人間臭さのようなものが感じられやしないだろうか ー僕は猛烈に感じるー 。そんなわけで僕はいつの頃からか増田さんのことを、敬意を込めて「ヘルパーのヘルパー」と呼ばせてもらっている。

 

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「いやいや、そんなことならヘルパー要らへんやん!」と思う人もいるかもしれない。しかしながら増田さんは、ヘルパーが来るからこそ、そしてヘルパーが大変だと思うからこそ「ヘルパーのヘルパー」に身を転じ、自分ができることを、できる範囲で(けれどMAXで)しているのであり、仮にもしこうしたきっかけがなかったならば、手が付けられないほどに住処を埃まみれにし、心を内へ内へと閉ざして生気を失ってしまう増田さんという人を、僕たちは、そして彼自身も痛いほどによく知っている。彼に2人の後見人がいるという事実がその証左になるかどうかは分からないが、少なくとも増田政男という人の、非常に見えにくい「生きづらさ」を知る手掛かりにはなるだろう。恐らく増田さんにとっては、「定期的に他者が訪れること/関わること」がこの上なく大切なのであり、そしてその他者が「家族」でも「友人」でもなく ― つまり近すぎる関係性にある他者ではなく ― 、接する時間も距離感も絶妙にちょうどいい「ヘルパー」という他者であることも重要なポイントなのだと思う。

 

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良い悪いの話ではないし、先のことは分からない。ただ、決まって毎週2回、とある小さなマンションの一室で繰り広げられるちょっと奇妙な助け合いの風景と、そこに漂う増田さんの弱さと優しさと美徳を思うとき、僕の心はいつもほんの少し、ニンマリにやけてしまうのである。

 

木ノ戸

| スウィンギン・ドキュメント | 14:59 | comments(2) | trackbacks(0)
わたしはマネキン

 

「親の年金をつかってキャバクラ SWING EXPO」京都展に向け、バタバタとした日々を送るスウィング。今日は昨晩から7教室にドン! と置かれたゴミブルーマネキンが、1日中ちょっとした波乱を巻き起こし続ける。

 

 

いつも早くに出勤してくるミサさん、ゴミブルーマネキンに向かって元気よく言う。

 

 

 

「おはようございま〜す!」

 

 

 

…何かがおかしいとは思わんかったんか!!!

 

 

毎日「岩木紙」(主に見学者へのお土産の包装紙として使用されるスウィング原産の紙。EXPOでは来場者全員にこの「岩木紙」に包まれたお土産を用意しております!)の制作に忙しいそうちゃん。インクの「出」が悪くなったので、近くにいた人の肩をちょんと叩いて「ペンの交換」を依頼しようとする。しかしその人はゴロンと横転してしまい、そして首がポキッと折れてしまう。そうちゃん、驚いて目を丸くする。

 

 

 

…そうちゃん、その件、次から人間に頼も!!!

 

 

 

毎日、お世辞やあいさつが「くどい」アッキーは、マネキンに対しても分け隔てなく「くどい」。

 

 

 

「沼田さん、よく似合ってますねー!」

 

 

 

…沼田さんちゃうよ、よー見て。…マジでよー見て。こんな微動だにしない人、基本おらんよ。

しばらく後、再びゴミブルーマネキンのかたわらを行きすぎるアッキーが言う。

 

 

 

 

「沼田さん、よく似合ってますねー!」

 

 

 

マジか!!! どんな節穴!??

 

 

今日は京都新聞さんの取材もあり、いよいよ盛り上がってきた「親の年金をつかってキャバクラ SWING EXPO」

来る7月31日(火)より、京都「同時代ギャラリー」にて開幕する。

 

木ノ戸

| スウィンギン・ドキュメント | 18:31 | comments(0) | trackbacks(0)
初夏のスウィングは狂いそう。

 

たいとくんが言う。

美味しそうにコッペパンを頬張るゴルゴの様子に触発されたのか、たいとくんが言う。

 

 

「西川さん、コッペパン好き?」

 

 

西川くん、好きかどうかよりもコッペパンの響きにじんわりと懐かしさがこみ上げる。

 

 

「コッペパンかあ、懐かしいなあ」

 

 

するとその思いに共感したのか、たいとくんがこう言う。

 

 

 

「コッペパン、どうしてるかな〜」

 

 

 

旧友か!!! 懐かしい友か!!!

 

 

 

四至本くんが言う。

仕事終わりの送迎車内、何気なくちなさんに言う。

 

 

「ちなさん、好きな食べ物ってなんなん?」

 

 

するとちなさん、間髪を入れずにこう答える。

 

 

「トマトやな!」

 

 

ウソつけ! トマト大嫌いやないか!

じゃあ、逆にこの質問はどうや?

 

 

「じゃあ、嫌いな食べ物は?」

 

 

するとちなさん、少し間をおいてからこう答える。

 

 

 

「ミニトマトやな!」

 

 

 

むふ〜!!! なんかスッキリせん!!!

 

 

かなえさんが言う。

何を言っても言わなくてもいい朝礼で、嬉しそうに言う。

 

 

「今日、本買いに行きます!」

 

 

お、いいね、いいね。でももう少し詳しく聞かせて〜な。

 

 

「何の本買うの?」

 

 

するとかなえさん、「当たり前やん」みたいな感じでこう言う。

 

 

 

「読む本」

 

 

 

誰か!!! もう助けて!!!

 

 

木ノ戸

| スウィンギン・ドキュメント | 17:29 | comments(0) | trackbacks(0)
迷えるヒーロー

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清掃活動「ゴミコロリ」において難しいことのひとつに、「これはゴミか落とし物か? どっちにしよ?」がある。つまり一見ゴミらしく見えたとしても、それが本当にゴミなのか、いやゴミではなくって誰かの落とし物(忘れ物)なのか、その判断をしなければならない場面に時々出くわすのである。吸い殻や空き缶などの分かりやすい「ザ・ゴミ!」は問題無いのだが、例えば公園に脱ぎ捨てられた子ども服や道端に落ちている綺麗な柄のハンカチ等、それが明らかに誰かの私物である場合、つどつどその判断を迫られる。あまり汚れてもいないし、これはまだ落としたて(忘れたて)でしょう! と判断した場合はたたみ直したり、綺麗に置き直したりして落とし主が現れるのを待つことになるし(落とし物認定)、なんかええもんに見えるけれどもこれだけドロッドロのペッチャンコだったらもうゴミでしょう! と判断した場合はゴミ袋にポイッ! とすることになる(ゴミ認定)。いずれにせよ「これはゴミか落とし物か? どっちにしよ?」の判断には当然個人差もあるし、誰も唯一絶対の正解は持ち合わせていない。だからなかなか難しい。

 

そしてさらに難しいのは「落とし物認定」をした場合の、「この場にそのまま置いておくべきか? 貴重品として交番に届けるべきか?」の判断である。中身の入った財布やクレジットカードなど、つまり金がからめば問答無用に交番にGO! になるわけだが、「金はからんでないけど、これはかなり大事なものっぽくね?」、言い換えれば「このままここに置いておいたらパクられるっぽくね?」の場合が時々ある。がしかし、この「ぽくね? ジャッジ」は「これはゴミか落とし物か? どっちにしよ?」よりさらに個人差があるし、やはり誰にも正解は分からない。

 

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ところで京一さんが中身のゴミブルー(以下、京一ブルー)は一発狙いのギャンブラー気質や、人一倍細かいゴミにまで目がいく特性(?)のせいか、落とし物、しかも交番に届ける系の落とし物をよく拾う。クレジットカードを拾ってはじめてゴミブルーのまま交番に行ったのも京一ブルーだったし、一昨日実施した「第114回ゴミコロリ」で文房具がたっくさん詰まったかわいいポーチを畑の中に見つけ「これどや?」と拾ってきたのも京一ブルーだ。「ゴミ認定」するには新しすぎるし、状態もかなりいい。「ぽくね? ジャッジ」は僕(木ノ戸ブルー)が担当させてもらい(京一さんはあらゆる局面において決めるのが苦手)、随分迷ったがこれはパクられる恐れあり! と「落とし物&貴重品認定」、ゴミブルー2人揃って最寄りの「上賀茂交番」へ向かうこととなった。

 

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交番のおまわりさんとも言ってみれば顔馴染みだ。いや、中身の顔を見知っているはずはないが、毎月の積み重ねの甲斐あってゴミブルーのことはよくよく知ってもらっている。今回も「ご苦労さまです」と手続きは着々進み、書類を作成するため「お名前教えていただけますか?」と尋ねられる。すると京一ブルー、少し間をおき、はっきりとしたいい声でこう答える。

 

 

 

「櫻本京一…です…か???」

 

 

 

「…です…か???」てなんじゃい!!!

おまわりさんに尋ね返してどないすんじゃい!!!

 

京一ブルー、どうやら「本名かゴミブルーか? どっちにしよ?」で迷ったらしい。…そりゃこういう時は本名に決まってるやろ。…警察の書類に「氏名:ゴミブルー」って書いたらおまわりさんの方が(位が上の方のおまわりさんに)叱られるわ。しばし笑いに包まれる平和な交番内。おまわりさん、息を整え仕事に戻る。本名・櫻本京一さん、続いてあなたの年齢をお聞きしたいんですけど? すると京一ブルー、やはりはっきりとしたいい声で今度はこう答える。

 

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「数え年…です…か???」

 

 

 

おじいちゃんか!!! 

いや、ひいおじいちゃんか!!!

 

京一ブルー、今度は「数え年か実年齢か? どっちにしよ?」で迷ったらしい。…今日日「数え年」で年齢言うときあるか? …厄年とか死んだときとかそれくらいやで。もはや「ゴミブルー」は一切関係なく「櫻本京一」個人の問題(?)である。おまわりさんも交番内で「数え年」というワードを聞いたのは恐らくはじめてのことだろう。「いや、今の年齢でお願いします」と笑いながら言う。

 

迷えるヒーロー、京一ブルー44歳(数え年46歳)。

来月も上賀茂の地を、目を皿のようにして迷わず闊歩する。

 

木ノ戸

| スウィンギン・ドキュメント | 16:23 | comments(0) | trackbacks(0)
姪っ子ちゃんは難しい

 

とある日曜日、Q氏主催のカラオケ大会(Q氏、イベント主催しがち!)へ向かう道中、助手席のかなえさんととりとめのない話をする。かなえさん、昨日の土曜日は何してたん?

 

 

 

「どっか出かけてた」

 

 

 

「どっか」て。その「どっか」を言うてーな。会話てそうやって広がっていくもんちゃうの? まあおれが聞いたらええことやな。どっかてどこ行ったん? どっか食べに行ってたん? 

 

 

 

「うん」

 

 

 

「うん」て。「どっか」の答えになってないがな。まあ、ええわ。もう「どっか」は諦めてどんどん尋ねたろ。かなえさんが時々家族で外食に出かけるのはよく知っている。じゃあ昨日のメンバーはどんな感じだったの?

 

 

 

「お母さんと妹と甥っ子と姪っ子」

 

 

 

なるほど、なるほど。賑やかでよろしおすな。ところで甥っ子さんには会ったこともあるし、名前も知っているけど姪っ子さんのことは何にも知らない。かなえさん、姪っ子さんのお名前は? なんていうの?

 

 

 

「めいっこちゃん」

 

 

 

…………………。

え〜っと、パニクる、パニクる。落ち着け、落ち着け。じゃ、じゃ、知ってるんやけど一応甥っ子ちゃんの名前を確かめてみよう。かなえさん、甥っ子ちゃんの名前は?

 

 

 

「ひろとくん」

 

 

 

やんな! やんな! ひょっとして「おいっこちゃん」なんか思たけど「ひろとくん」やんな。間違いない。それ間違いない。じゃ、もっかい、もっかいだけ確認のため聞かせて。かなえさん、姪っ子ちゃんの名前は?

 

 

 

「めいっこちゃん」

 

 

 

だ〜!!! マジか〜!!! 甥っ子ちゃんは名前で呼んで、姪っ子ちゃんは姪っ子ちゃんのままか〜。そうか〜、でもいい! そんなんも、なんかいい!  

 

…がしかし、後日気になってかなえさんのお母さんに確認したところ、姪っ子ちゃんの名前は「めいこちゃん」であることが判明。そうか。そういうことか。「なんかいい!」とか偉そうに言ってゴメンよ。でも「姪っ子ちゃん」と「めいこちゃん」がいい感じにごっちゃになってるやんな…。随分昔のこの話(→)と絶妙に重なる。およそ10年前のスウィングの風景。よければどうぞ。

 

木ノ戸

| スウィンギン・ドキュメント | 18:33 | comments(0) | trackbacks(0)
気になる冷蔵庫の大きさ

 

先日、お陰様で大盛況のうちに幕を閉じた展覧会「Enjoy! Open!! Swing!!! Vol.5 みんなあげちゃう♡♡♡」。それはそれとして、とにかく事件はその会期前日、搬入作業へと向かうNEWスウィング号の車内で起こったのである…。

 

今回の搬入メンバーは僕とかめちゃんとあやちゃんの3人。誰がどこを担当するか? 出発早々、役割分担をささっとすませた後、昼食を買うためにコンビニへと車を走らせる。…腹が、ちょっと、減っている。…このまま何も食べずに昼までもつだろうか? …いや、待て、待てよ。この間も同じように考えて朝からパン食べちゃったら、やっぱりちゃっかり下しちゃったではないか。そう、僕は昔から(特に朝)腹を下しやすい体質で、現在、いろいろ試行錯誤の末に朝はスムージー、昼はお粥、晩ご飯は普通に…という食生活を送っており、腹具合がかつてないくらいに安定しているのだ。この話を友人にした時には「モデルか!」と笑われたが、1日3食お腹いっぱい! が合う人もいれば、内村航平さんのように晩ご飯だけ! が合う人もいる。本来、「食」というのはこんな風に「個人個人・色々」が当たり前なんじゃないだろうか…てな話を道中ふたりにしていると、「ふ〜ん」と感心した様子で聞いていたあやちゃんが、今度は「食」の量について、意外な話をはじめる。

 

 

 

「あたし、1回に作るのが、4、5人前がベストなんですよ」

 

 

…分かるだろうか? あやちゃん、「一度に4、5人前を食べます!」と言っているのではなく、あやちゃんにとっての「1回に作る量の適量」が1人前でも2人前でもなく、4、5人前だと言っているのだ。ふ〜む。「食」の回数、内容、食べる量など人それぞれだと思っていたが、「1回に作る量の適量」まではさすがに思い至らなかったぜ…。さすが、あやちゃん…。僕も驚いたが、かめちゃんも「へー!」とかなり驚いた様子である。

 

 

 

「そんなに作るって…。じゃあ、冷蔵庫は大きいんですか?」

 

 

なるほど、ごもっともな質問である。(僕は4、5人前のインパクトに混乱してそこまで頭が回らなかったが)かめちゃんは一度に4、5人前も作るからには食材もたくさん! 冷蔵庫も大容量! というイメージを即座に持ったのだろう。うむ。興味あるある。さて、あやちゃん、その実態やいかに?

 

 

 

 

 

「いえ、冷蔵庫は1人前です」

 

 

 

 

 

て、言わんよね!!!

普通は!!!

 

最近、あやちゃんがミサさんに急接近しているような気がする…。

 

木ノ戸

| スウィンギン・ドキュメント | 17:29 | comments(0) | trackbacks(0)
たぶんフルチンよりフルオープンの方が難しいんだぜ!

 

スウィングには現在、27名の「利用者」と8名の「職員」(うち1名は僕、うち1名は事務員のゆみさん)がいる。「利用者」を言い換えれば「被支援者(=支援を受ける人)」、「職員」を言い換えれば「支援者(=支援をする人)」となり、あるいは福祉サービスという観点から言えば「利用者」は「サービス受益者」、「職員」は「サービス提供者」ということになると思う。

 

スウィングはこのように人間を言葉や立場性で白黒ハッキリ二分化してしまうことに疑問を持ち、こうした構造や関係性(【利用者/職員】とか【被支援者/支援者】とか)の解体を日々の歩みの中で進めてきた。また公的にも「特定非営利活動法人促進法」に基づく定款において「活動会員」(=この法人に所属し、様々な市民活動を主体となって実践する利用者及び職員)という規程を設け、スウィングに属する全ての人が平たく、NPOとして推し進める市民活動の主体者なのだ! という旨を明記している。

 

社会から付与された「利用者(被支援者)性」や「職員(支援者)性」、あるいはその境界を溶かし、「ひとりひとり」がNPOとしての市民活動、そして社会福祉施設としての社会福祉活動の主体者(実践者)となるという試みは、概ねものすごく上手くいっており(なんて雑!)、スウィングという場やそこで培われてゆく文化をイイ感じに醸成してゆく礎になっていると感じている(なんて曖昧!)。ていうか本来「当たり前」であるはずのことを、「当たり前」にしているだけなんじゃないかとも思う。

 

しかしながらその一方で、僕たちが「職員」という立場性や「支援者」という職をもって、「利用者」の何倍もの賃金を得、生活の糧としているという事実も厳然としてあるわけで、僕たちはこの動かし難い現実からも決して目を逸らしてはならない。スウィングは設立以来、フリースクール「わく星学校」さんと仲良くしてきたが、「わく星学校」にも同じような問題(?)があることを数年前に聞いた。即ち、「先生」「生徒」が共に学び合う「わく星学校」だけれども、「先生」はお金(給料)を得、「生徒」はお金(授業料)を払うという、やはり二分化された現実があり、「これってなんかおかしくない?」という議論が巻き起こったりしているらしい。解決しない問題かもしれないけれど、とっても大事なことのように思う。

 

木ノ戸

 

…じゃない! じゃない! 僕が書きたかったのはこれじゃない! 

僕が書きたかったのは四至本くんのことなんだもん! 

四至本くんから食らわされた、あの衝撃(?)のことなんだもん!

 

 

今から8年前、2010年にスウィングの一員となった四至本くんにはあるクセがある。それはほとんど一定周期で「やる気」が失せてゆき、次第に日々の仕事がおろそかに雑になってゆき、明らかにその表情までもがだらしなくなってしまうというクセである。このクセがMAXに、どうしようもないくらいに発揮されたある年、四至本くんはスウィング史上、唯一の「懲戒処分」を受けた。これは「スウィングに来るだけで仕事!」ていうか「生きてるだけで大仕事!」という仕事観が根付いているスウィングにおいてはまさしく異例のことであるが、それはやっぱり四至本くんが「職員」だったからに相違ない。平たく「活動会員」であることを基本としながら、同時にプロの「支援者」(何をもってプロか? は謎!)としてもあり続けなければならない。わお! スウィングって難しいのかも! 

 

話を戻す。

 

この四至本くんのクセが出るたびに僕はどうしているか? その答えは「そのつど四至本くんを叱る」である。すると四至本くんはそれを合図のようにして回復(?)し、翌日から再びいい顔をしてリスタートするというサイクル、いや、むしろシステムを、この8年間、僕たちは採用し続けてきたのだ。

 

先月のことだったろうか。明らかに日々覇気が無くなり、明らかに仕事がおろそかに雑になってゆく四至本くんに気づいた僕は、「もう、そろそろアカンな…」というタイミングで四至本くんを呼んだ。「分かるやんな?」とひと言言うと、即答で「はい」。もちろん僕の中に巻き起こったのは「分かってんにゃん! も〜お!!!」である。そしてこの「分かってんにゃん! も〜お!!!」を無かったことにせず、これまでのように「叱る」ではなく、正直にこう尋ねてみた。

 

 

「おれがこうして話をする時って、自分でもアカンて分かってんの?」

 

「はい、分かってます」

 

 

だと思う。分かっているからこそ「なんのことですか?」ではなく、即答で「はい」なのだと思う。

…しかしここでひとつの疑問が浮かぶ。分かっているならば、なぜ自分自身で改めようとはしないのか? それは果たして四至本くんにはできないことなのだろうか?

 

 

「え〜っと、分かってても自分自身ではどうにもできないの?」

 

「はい」

 

 

正直やなあ、おい! よ! ミスター人任せ!

なんか、段々楽しなってきたわ。よし、もう一歩踏み込ませてもらおう。

 

 

「それはどうして? 自分の中にどんな気持ちがあるの?」

 

 

どちて? どちて? 分かってるのにどうにもできないって、マジでちょっと分かんない。理由が知りたい。

ねえ、どちて? どちて? どちてなの? すると四至本くん、ちょっとはにかみながらこう答える。

 

 

 

 

「いけるんじゃないかって、思ってしまってます」

 

 

 

この答えを聞いた途端、僕は「すっげー!!!!!」と思った。そして思わず大笑いした。「いけるんじゃないか」って!!! つまりこのままではアカンとどこかで分かっていながらも、「いやいや、このままでもいけるかもよ? 誰にも気づかれないかもよ?」という悪魔の囁きにボロ負けし続けていることを、正直に、バカ正直に、この男ははにかみながら言ってのけたのだ。僕はここまで自分を曝け出せるのはマジでスゴい! と感動しながら「でもな、叱る方も疲れるんやんか、やっぱりこのシステム続けなあかんの?」と、「おれを助けてくれ」みたいな感じで正直に尋ねた。正直には正直返しである。すると四至本くんからは更に正直にこう返ってくる。

 

 

「はい、叱ってもらった方がいいと思います。自分ではちょっと…」

 

 

…そ、そうなんや。叱られる側からこう言われてしまっては、一体僕はどうすればいいのか。しばらく考えた末、僕は四至本くんにこう伝える。

 

 

「じゃあ、おれも自分から叱るのはしんどいから、四至本くんの方から叱って欲しいって言ってくれへん?」

 

「はい、やってみます」

 

 

はい! (理論上は)新システム確立! 

この意味の分からないシステムが果たして上手くゆくのかどうか。やってみなくちゃ分からない。しかしながら僕たちはこのやり取りを終始リラックスしながら進め、なんか知らんけど清々しい気持ちで話を終えることができた。

 

この清々しさってなんだろう? 

 

僕は四至本くんを責める気にはなれず、それどころか悪魔の囁きにボロ負けしてしまう自分をフルオープンにした四至本くんに爆笑し、そして感動した。また僕自身も「叱る」ではなく、四至本くんの本当のところを聞きたいと耳を澄ませ、「私、あなたに困ってます!」という自分を露わにした。結局のところ僕たちはウソの無い、素っ裸のコミュニケーションができたのだと思う。そして四至本くんは長い月日のうちに自分の「弱さ」を素直に受け入れ、力に変えつつあるのだと思う。願わくば新旧どちらのシステムも使いたくはない。けれど自分自身を奥の奥まで曝け出し、「弱さ」を他者に委ねた四至本くんの在り方に対し、僕は(余りにもオモシロすぎたので)敬意の念を抱かざるを得ないのである。

 

木ノ戸

| スウィンギン・ドキュメント | 19:58 | comments(0) | trackbacks(0)
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